
「サステナブル・キャピタリズム」~幻想か、現実か~
株式会社イースクエア代表取締役社長
ピーター D. ピーダーセン
■ 資本主義が私たちに何をもたらしたか
近代社会は、まぎれもない事実として資本主義社会である。資本主義の基盤を作ったのは、英文で900ページ強に及ぶ「富国論」(1776年)を著 したアダム・スミスと言われるが、彼は何も「資本主義」という言葉を使ったわけではないのだ。それはむしろ、そのような経済システムの欠点を指摘し、「資 本論」(1867年)を世に送り出したカール・マルクスであり、「資本主義」という言葉が広く使われるようになったのも、1900年前後とされている。
私たちは、もはや資本主義とは何だったのかを振り返ることすらなくなっているのかもしれない。経済システムとしては、個人所有を重んじ、なるべく 自由な市場を媒介した取引を基本とし、そして営利を追求する資本家が資本を投下し、経済活動が営まれる仕組みである。ここまでは把握していても、資本主義 が何をもたらしたか、またその長所や短所とはどのようなものかを考える間もなく、私たちはその実践に取り組んでいるのではないだろうか。このコラムではあ えて、その問題点に着目し、真に「生命を育む資本主義」とはどのようなものなのかを考えてみたい。ここ数か月起きた金融不安の問題は、資本主義の病の症状の一つにすぎない。その根底にある課題にメスを入れてみたい。
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