ブレークスループロジェクト

シーン

AI、IoTはじめとするDXベースで事業経営が進み、過去とは全く異なった考え方、仕事のやり方、行動が必要であるにも関わらず、いまだ多くの会社が過去の仕事のやり方を継続してしまっています。またそういった組織は概して若手社員や現場の社員の意見がなかなか理解されず、提案、提言するにも「心理的安全性」が守られていないため、誰も状況を変えようとしません。これらの現象は「学習性無力感」「組織の老化」「組織疲労」などと呼ばれ、企業経営で最も重要な人と組織の活力を著しく低下させます。このような状況では「組織の生命感」を取り戻す必要があります。ブレークスループロジェクトは、業績に直結する成果やゴールを掲げ、その達成期日を90日以内に短く区切り、行動重視で試行錯誤を繰り返しながら毎日、毎週、毎月の目標を達成し、モチベーションを高め、現状をブレークスルー(突破)し、人と組織を活性化させるプロジェクトです。

  • 本社の大きな計画が重視され、現実離れした中長期の施策が多く、なかなか成果につながらない。達成感が得られない
  • 成果に直結しない形式的な間接的業務が多く、現場社員のモチベーションが低下している
  • 本社主導の大きな計画が示され、誰も責任をとろうとしない。当事者意識がない、無責任体質になっている
  • 過去の考え方、取り組み方が通用しなくなっているにもかかわらず形式ばかり重視して、従来の仕事のやり方を変えようとしない
  • 失敗が許されない環境。心理的安全性、自発性が担保されず、誰も新しいことをやろうとしない。言われたことだけをやっていればいいと考えている
問題の根本的原因
  • 設備投資型の業態で計画が大規模、長期的。結果が見えにくく計画に当事者意識を持ちにくい
  • 制度、ルールなど組織のハード面を重視しすぎ、社員が受け身になりやすい
  • 減点主義で、一度決めた仕事のやり方を変えたがらない。保守性が高い
  • 経験者の力が強く、上意下達の社風で、社員の心理的安全性、自発性が担保されておらず挑戦する意識が薄い
  • 組織間の利害対立が強く、組織の横連携がうまくいかず、組織が硬直的である
成功のポイント
  1. プロジェクトの実施期間を90日にし、緊張感をもち目標達成に集中すること
  2. 挑戦的でしかし達成可能な魅力的な「ブレークスルーゴール」を設定すること
  3. スポンサー、事務局、リーダなど回りからメンバーに対し毎日小さなポジティブフィードバックを返すこと
  4. 自発、自律と心理的安全性を担保できる環境を設定すること。常に監視し、間違った方向をみつけたらすぐに修正すること
  5. 結果に直結する行動、アイデアを重視し、無駄な仕事をなくすこと
  6. 行動を重視し、試行錯誤をいとわないこと。その中から行動解を見つけること
  7. 組織、ポジション、個人間の壁を壊し、組織のスピードを上げること
  8. 多様な考え、知識、スキルをもつメンバーがボトムアップ型でアイデアを出し合い、短いサイクルでトップダウンの意思決定を繰り返す創発型マネジメントを実行すること
  9. 要求に対応したモデルを俊敏に作り、その問題点を素早くフィードバックし改善し、より良いものにしていく改善型開発方法「アジャイル」型で進めること
  10. 効果的なアクションを見つけるためにデータに基づく仮説検証を行うこと
成果
  • 経営トップのビジョンを各組織の主要なメンバーと共有し、戦略から具体的な行動を明確にすることができる
  • 短期的な目標を設定することで、成果を起点にして、取るべきアクションは何かを考え、行動できるようにする
  • 早い段階で、小さな成功体験を積み重ねることで組織行動が加速し、戦略の実行にドライブがかかる
  • 実行チーム間での進捗・成果共有により相互の学習が促進され、組織としての一体感が生まれる
商品イメージ
期間
研修 3日
ワークショップ 3日~3ヶ月
コンサルティング 3ヶ月〜
実績例

ケース1:「買収により上場廃止された食品メーカーによる逆転の営業」

【変革“前”】

業績悪化により大手食品メーカーに買収された中堅食品メーカー。親会社からの経営者の出向、仕事のやり方を一方的に指示され、なかなか自発性が出せない。退職する社員も増加し、モチベーションが下がってしまっていた。プライド、挑戦意欲が低下し、受け身で、「自分は悪くない、会社がダメ」と他責の傾向が高まっていた。

【変革のポイント】

自分たちが得意とする商品の営業に絞って、少し難しいがこれならできるという短期の営業目標を自発的に設定した。客先が業界でも有名で、ここに納入できたら自信を持てるというターゲットに絞った。アクションを単純明快にし、チーム内で毎日相互チェックできるようにした。プロジェクト初期の段階で、行動したことに対して、親会社出身のスポンサー、事務局から毎日ポジティブにフィードバックを行った。

【変革“後”】

アポイント、商談、見積もり、テスト導入とステップを踏んで実行。1か月目でテスト導入し、売上が立ち成功の流れを確認した。さらに加速度をつけ、提案を3回繰り返し、商品の改良を開発と連携して実行し、3か月で目標売上の180%を達成した。自分たちはやればできるという自信が沸いた。大手レストランチェーンにターゲットを変え、新たな挑戦を行った。プロジェクトリーダーが課長に抜擢され、親会社の重要ポストへ出向となった。

ケース2:「営業業績向上に向けたブレークスループロジェクト」

【変革“前”】

営業を行なったことがない設計エンジニアだけの組織。会社の業績悪化とともに、設計エンジニアも営業をしなくてはならないが、過去に営業をやったこともないし、外部の人に話をするのが苦手な人がほとんど。経営側から「これからのエンジニアは営業もできないとダメ」と言われ、反発。しかし何をどうすればいいのか全く分からなく、不安。

【変革のポイント】

設計部長のスポンサーと話し、エンジニアだからこそできる営業をやろうということになり、アイデア出しを行なった。技術面を充実させた提案書作成、技術サービスを求めている顧客を5社リストアップ。訪問計画を立てて、ドキドキしながらアポイントを取り、提案活動を行った。緊張する場面ではスポンサーが同行してくれた。1社目訪問の反省を2社名以降に反映させた。毎回新しいことを学び、提案書を改訂していった。営業プレゼンの練習を全員7回以上おこなった。日報を毎日書き、スポンサーとコミュニケーションした。

【変革“後”】

顧客5社全社と面談し、そのうち2社から見積もり依頼を受け、1社3000万円の受注ができた。顧客からはエンジニアの説明で納得した、助かったと評価された。その後プロジェクトを2回継続し、3か月で1億円以上の業績を上げる組織になった。直接営業を行っているので、顧客のことが良くわかり、設計工数が30%減少した。

ケース3:「製販連携ブレークスループロジェクト」

【変革“前”】

製造組織と販売組織の縦割りが強く、コミュニケーションが少ない。営業は自社で製造できる商品も安易に外注してしまうため、製造の稼働率は50%以下。社内で製造は、長年、業界平均と比較しコスト高で、技術力が低いと認識され、製造部門の社員のモチベーションは低く、離職率も年間15%と極めて高かった。製造の稼働率を75%にすると営業利益率が5%以上アップすることがわかり、製販連携のブレークスループロジェクトを行うことにした。

【変革のポイント】

製造3名、営業3名からなるプロジェクトを組織化。まずは互いの組織がどんな仕事しているかを相互理解する勉強会を3回開催した。自社が製造できるもので外注してしまっているアイテム45種類と金額5億円をリストアップ、分析し、内製に切り替える計画を立てた。製造の稼働率を営業部門の部屋の入口に掲げ、製造稼働率75%を目指すように意識した。毎日の営業情報を製造と共有した。

【変革“後”】

1か月で8件、2000万円の内製化が達成、2か月目で6000万円、3か月目で8000万円の内製化が実現。途中技術的な問題が生じ、その部分のみ応援外注をお願いしたが、次回からは内製可能な目途を付けた。このペースでいけば、年間2億4000万円の内製シフトとなるが、その後チーム数を3つに増やし、最終的には5億8000万円の内製受注となり営業利益率は5%以上アップした。期間中離職はゼロで、モチベーションは同じ組織と思えないほど上がった。