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急増するWEB会議・研修の満足度を高めるための段取り・運営のポイント

ニューチャーネットワークス コンサルタント
永田 諒

■新型コロナウィルスの影響で急増したWEB会議

 ニューチャーネットワークスでは以前より必要に応じてリモートワークやWEB会議システムを活用した弊社メンバーやお客様との会議を実施してきました。頻度としてはおおよそ週に1〜2回程度でしたが、昨今の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により、1日4、5回以上にまで急増しています。皆さんも新型コロナウィルスの影響によりWEBを介した会議や研修を実施する頻度が非常に高くなっていると思われます。今回のコラムでは私たちがWEBによる会議や研修実施の際に気を付けているポイントをご紹介します。

■多くのお客様の感想「思っていたよりも弊害がない」

 WEB会議後、これまで対面で会議を行っていたお客様からの感想で最も多いのは「思っていたよりも弊害なく進められる」というものです。初めてWEB会議ツールを利用する方でも、いざ始まると対面の時と同様に会議や研修は進行し、アウトプットを出して終了します。このように対面の時とあまり変わらずに会議や研修を進めることができるのには、大きく3つの理由があります。
 1つ目は、WEB会議ツールの改良が加速度的に進んでおり、数年前のツールとは比べ物にならないくらい使いやすくなっていることです。音声品質も向上し、以前のように会話が途切れて内容がほとんど理解できなかったということもめったにありません。
 2つ目は、スマートフォンなどのI T機器が生活と一体化したことにより、皆さんのI Tツールへの適応力が向上していることです。プライベートでLINEやFaceTimeによるテレビ電話を普段から使っている方も多いかと思います。
 3つ目は、WEB会議・研修の実施前の段取り、会議運営の方法を決めておくことです。有意義なWEB会議・研修になるかどうかは、事前の段取りと運営方法にかかっています。WEB会議・研修の満足度を高めるための段取り・運営方法を紹介します。

■WEB会議・研修の段取り、運営は「顧客視点」で行うことが重要

WEB会議・研修の段取りで私達が気をつけているポイントは以下になります。

会議の段取りで気をつけること

①    WEB会議に必要なツールを提案し、相手が利用可能なツールを選定する

 お客様ごとに社内の情報セキュリティのルールが存在し、利用可能なWEB会議ツール(WebExZoomMicrosoft Teamsなど)が異なります。また使い慣れているツールを利用した方が、会議を円滑に進行することができます。不慣れなツールを利用すると、「いつもと何かが違う」というストレスが溜まり、会議進行の妨げとなる恐れがあるからです。
 WEB会議ツールだけでなく、共同作業を実施するツールも事前に確認する必要があります。(例えばOffice365など)

②    WEB会議へのログイン方法や、会議で使用する機能の簡易マニュアルを用意する

昨今のツールはおおよそWEB上にマニュアルが存在し、それを読めば利用することはできますが、知りたいことを探すのに手間がかかり、ストレスとなります。会議を始める前の段階でストレスが溜まれば必然的に会議に悪い影響を及ぼします。そのため、ツールのインストール方法や、ログイン方法、会議で必ず利用する機能の使い方を簡単に記載したマニュアルを用意することが重要です。

③    初めて使うツールの場合は接続テストを行う

 いきなり本番を実施すると、トラブルが発生した場合、トラブル解決に時間がとられ、会議や研修の時間が削られてしまいます。特にWEB会議を初めて使う人が多い場合や、初めて使うWEB会議ツールを使用する場合は、テスト接続は必須です。発生しやすいトラブルとしては、以下のような例があります。

  • 社内セキュリティにより接続できない
  • 音声が聞こえない
  • マイクが反応しない
  • タイムラグが非常に大きい(画像がカクカクする)

 事前の接続テスト時にこれらの事象が発生すれば、ツールの変更や、打ち合わせ方法の見直し、マイクやカメラの接続方法の説明などの対策をとることが可能です。その他にもパスワード設定による乱入者対策など細かい点は幾つかありますが、段取りの際に最も気をつけることは「会議相手にストレスがかからないようにするにはどうすれば良いか?」ということであり、「顧客視点で段取りをすること」が重要となります。

会議の運営方法として気をつけること

①    ファシリテーター、講演者とツール管理者は別々にする

 数人で実施する場合は同一でも問題ない場合が多いですが、参加者が10人以上の場合やグループワークを実施する場合は必ずファシリテーターや講演者とは別にツール管理者を用意します。これはファシリテーターや講演者が管理者を兼ねていると、ツール管理やトラブルなどの個別対応が迅速に行えないだけでなく、ファシリテーターや講演者が話すことに集中出来ないためです。ツールの管理作業を行いながら、100%集中していない状態でファシリテーションを行っても会議は生産的になりません。生産的かつ円滑に会議を進行するためには管理者を別に用意することを推奨します。

②    マイクは話す時だけON にする

 これは雑音が入らないようにする為です。自分が話しているときに電話のコール音などが聞こえたらどう思うでしょうか。ムッとする方が多いのではないでしょうか。相手に不快感を与えない為にも、話すとき以外はマイクをOFF にすることを推奨します。一方でマイクOFFのまま発言しないように、「話すときはマイクON」と書いた付箋をPCのモニタに付箋を貼っておくなどの工夫も必要です。

③    カメラはできるだけONにする

 これには2つの理由があります。
 1つ目は、人は見られているという意識がある方が集中できるからです。マイクをOFFにしている状況で、カメラもOFFにしてしまうと、「誰も見ていないから・・・」という気分になり、他の作業を実施してしまいたくなることがあるのではないでしょうか。その結果、相手の話を聞き逃してしまうことがあってはならないのです。WEB会議においても、対面の会議と同様に相手を視認できる状況で、集中して望む為にもカメラはなるべくONにしましょう。
 2つ目は、「相手の反応が見える方話しやすい」からです。話した内容に対して反応がない環境では、自分が話した内容が相手に受け入れられているかが分かりにくく、一方的な報告をお互いに行うだけの会議になってしまいがちです。双方が議論に参加し、お互いの反応を見ながら、効率よくアウトプットを出していく為にもカメラONは必須です。
 とはいえ、ネットワーク回線の環境によってはカメラをONにするとツールが上手く動かない場合があるかと思います。この場合はやむを得ませんので、カメラはOFFにします。代わりに発言を意図的に多くしたり、チャットで参加したりと、意思疎通ができるように積極的に行動する必要があります。

④    質問や発言ができる状況を多くする

 WEB会議は対面に比べると、相手の反応にタイムラグがあります。この為、発言者が対面の時と同じ感覚で話し続けると、質問や発言を挟むタイミングがなくなってしまい、相手は一方的な意見を押しつけられた感覚に陥ってしまいます。この状況を回避するには、

  • 発言者は対面の時よりも長めに間をとり、質問や発言を挟みやすくする
  • 定期的に他の人に発言を促す(特に、あまり発言をしていない人に対して)
  • 常時チャットでの質問を受け付け、ツール管理者から質問があることを全体に知らせる

などの対策を実施しています。

⑤    こまめに休憩を入れる

 60〜90分ごとに休憩を入れましょう。慣れていないWEB会議では特に、いつもとは異なる疲労感を覚えます。ずっとモニタを見つめていることで、かなり疲労が蓄積されます。疲れた頭では質の高いアウトプットを効率よく生み出すことは困難です。結果的に会議が長時間化したり、結論が出ないまま終了する不毛な会議となってしまったりします。小まめな休憩で常に頭をリフレッシュしましょう。気分や思考をリフレッシュする為に、主催者は歩行や換気を促しましょう。座って休憩するよりもリフレッシュ効果を実感できますので、試してみてください。

⑥    緩めるポイントを作る

 休憩以外にも緩めるポイントを作りましょう。具体的には、

  • 雑談タイムを設ける
  • 気分を明るくする面白いことを仕掛ける

 外出の自粛、テレワーク中心のワークスタイルへの変化により、他人と話す機会は激減しています。雑談する時間を設けることで、参加者だけでなく主催者側もストレスを軽減することができ、会議の円滑化だけでなく、現在起き始めている「コロナ鬱」を抑制する効果にも期待ができます。雑談ネタは場の雰囲気を明るくできる内容にし、ネガティブな内容は避ける必要があります。特に新型コロナウイルスに関する情報は、場合によっては相手を精神的に追い込むことにもなりかねないので、WEB会議の中では話題にしないようにしましょう。

■WEB会議も素早くリーンに実行することが大事

 「やったことがないから」、「なんとなく不安」とWEB会議への移行を恐れるのではなく、スタートアップのように、これは顧客提供価値(=会議のアウトプット)を最大化する為に、お客様に対してどうすれば良い会議・研修を提供できるかの仮説を構築し、その手段を検討・開発し、テストにより仮説検証し、さらに改善するというプロセスを経る必要があります。初回から完璧なWEB会議の実施は困難ですが、素早くリーンに実行していくことで、WEB会議を進化させることができると思っています。
 WEB会議ツールに関してはセキュリティ上の問題などが取り沙汰されていますが、今日のリモートワークが必然とされる環境では、いかに対面と同様に会議・研修を行えるかも重要です。今回のコラムを通じて、皆さんのWEB会議運営がより良いモノになる為に1つでもお役に立てば幸いです。

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