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「経験価値を企画するにはビジネスよりもアートやデザインを学ぶべき」顧客経験価値のための商品企画開発の実践 第15回

ニューチャーネットワークス 代表取締役
高橋 透

いまビジネスで最も必要なのは、これまでの退屈な顧客経験価値を変える「新たな発想」です。「新たな発想」これほど言い古された言葉はありません。「新たな発想」はいつの時代でも求められてきました。しかし、心理学者マズローの「5段階欲求説」の整理、安全の欲求など物理的なものが満たされきった現在、社会的欲求や自尊(承認)の欲求、自己実現の欲求など、高度な精神的な欲求を追求することを避けては、新たな市場を創造することは不可能になってきています。

しかし現実はどうでしょうか。多くの企業は、未だにわかりやすい物理的な欲求の充足という枠を出られていません。その理由の1つに、論理思考やそれをベースとした各種分析手法は発展し、活用されてきましたが、新たなものを発想する手法は、その成功確率も高くないためあまり開発されてこなかったし、また活用も出来ていなかったことがあげられます。言い出したらキリがありませんが、学校教育も、ものごとを分析したり、正解のある問題を解くことを重視したりしてきたと思います。精神文化に影響を与えるアート系のものはメインではありませんでした。20年前までは、ビジネスで活躍しようとするならば、工学系の学部かビジネススクールで勉強することが推奨されました。また企画の対象が精神的な領域となると、物理的なものと比較し、そもそも把握しづらく、社会の変化とともにうつろいやすいため、テーマの対象にしにくかったのだと思います。

しかし時代は変わりました。フィジカルなもの、機能的なものが飽和し、人の感覚、感情、思考こそが、商品・サービスの重要なターゲットとなり、そこに対して影響力のある企画をしなければなりません。若い人は、ビジネススクールだけでなく、むしろアートやデザインを学習することが注目されてきていますし、スタートアップに参画し、自由な発想で挑戦する経験を積むことが魅力的に捉えられるようになってきました。

しかしアートやデザインはじめ、人の感覚、感情、思考を突き詰めていくことは一種哲学的なことを志向することで、必要なことではありますが、大変難しいことになってきます。そういった哲学的なことを学び、人間の本質を掘り下げつつも、わかりやすいツールを使って具体的に分析したり発想したりすることが、ビジネスにとっては重要なことだと思います。深い問題こそ具体的に実務的に入る方が良いと思います。そこで、次回以降以下の6つの顧客経験価値の発想を紹介します。

    1. デザインシンキングとは
    2. タウンウォッチング
    3. 現場観察
    4. 異業種アイデアソン
    5. ペルソナデザイン
    6. カスタマージャーニーマップ

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