顧客経験価値のための商品企画開発の実践

第21回「『平均的な人』などという人はいない」
■対象顧客のリアルな価値や生活実態のイメージを共有する
「平均的な人」とよく言われますが、実際「平均的な人」などという人はいないと思います。性別、年齢、年収などの統計的な属性で市場セグメントし、そのセグメントを顔のない「平均的な人」と定義して商品・サービス企画をしても、誰にも響かない可能性が高いと思います。そのようなことを防ぐために「ペルソナ」という方法があります。
ペルソナとは、商品・サービスの典型的な対象顧客に関して、年齢、性別、職業、年収、居住地域などその統計的属性のみを把握するのではなく、価値観、趣味、こだわり、時間の使い方、休日の過ごし方、行動様式、情報入手媒体や方法、交友関係、家族関係、健康状態などの人物像を深く、リアルに把握することです。そのペルソナに向けて顧客経験価値を発想したり、商品企画をしたりする手法をペルソナマーケティングと呼びます。
ペルソナを設定することの意義の1つは、マーケティング戦略のリアリティを高めるためです。私が新商品企画をレビューする際、「身近な人で誰にこの商品を使ってもらいたいですか?それはなぜですか?」といった質問をよくします。このような質問に対し「静岡に住むうちの親戚の叔母です。彼女は、68歳ですが、スマホを使いこなし、いまでもジャズバンドのボーカルをやっています。健康に不安がないわけではありませんが、毎朝の3キロのウォーキングは欠かしません。体重コントロールにも気を遣い、常に歩数計で運動量を測定しています。こういった新しい価値観のシニアだからこそ若々しいイメージのパッケージデザインが必須です」と明確に答えられる状態であればペルソナの設定が出来ている状況です。
もう一つの意義は、組織でマーケティング対象のペルソナのイメージを共有することです。組織のそれぞれの人が異なる顧客イメージを持っていては、マーケティング戦略はうまく機能しません。商品企画、開発設計、カスタマーサービス、広告宣伝などマーケティング戦略に関わる人が同じペルソナをイメージすることが大変重要です。
ペルソナは、架空の人物ではなく、実際自分の周りにいるどなたかをモデルに設定すること、つまりリアリティが重要です。リアリティにより、提供すべき顧客経験価値が明確になり、マーケティング戦略も具体的なものになります。周りと共有しやすくするために芸能人をペルソナにする場合もあります。
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