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コア技術を生かした革新的価値創造とは

コア技術はどのように企画・構想されるのか①

ニューチャーネットワークス 代表取締役
高橋 透

コア技術企画のための4つの発想法

では、コア技術はどのようにして見つけ出すのでしょうか。

コア技術とは、将来の新事業ドメイン(事業領域)を前提に考えるべきであり、その新事業ドメインはマクロトレンドの変化やその影響を受けたエコシステム・ビジネスモデル、バリューチェーン、顧客経験価値、競合などの変化を前提に構想すべきであることは、すでに説明しました。以下、実際にコア技術を発想する際の方法を説明します。

まず、コア技術は多くの場合、現在の事業を支える「既存技術」をベースにしたものだと認識してください。全く新しい外部の技術だけをもって「コア技術」と考えることもありますが、それはスタートアップ企業や、M&Aなどで外部技術を獲得したケースに限られます。技術ベースのモノづくりを10年以上行なってきた企業であれば、既存技術をベースに考えることが基本です。

その既存技術を新事業ドメインに向けて変換・再定義し、コア技術を見つけ出すのですが、その際の基本的な発想方法は4つあります。

①細分化
既存技術をいくつかの技術に細分化して、その中から独自性のあるもの、革新的顧客価値を創造するベースになるものを選択し、コア技術とする方法です。

長年携わってきた既存技術が既存製品そのものと一体化してしまい、細分化するという発想に至らないケースはよく見られます。富士フイルムの例で言えば、写真フィルム時代の既存技術を単に「写真フィルムをつくる技術」と大まかに捉えたままだったなら、現在の同社の事業は存在しません。写真フィルム技術をいくつもの技術に細分化し、その中から特定技術を選択し、開発投資することで数々の新事業が生み出されたのです。

なお、細分化の方法は、要素技術、設計・生産・利用技術などプロセス別に分けるなど、新事業ドメインの特性によって異なります。

②組み合わせ
新事業ドメインに向かって、いくつかの既存技術を組み合わせ、自社独自のコア技術を発想する方法です。

既存技術はいくつかの事業部門に分かれて存在している場合が多く、かつ事業部同士の横の連携はなかなか行なわれていないのが現実です。そこで、事業部門を横断してそれぞれの保有する既存技術を持ち寄り、それらを組み合わせてコア技術を発想するのです。

ソニーのゲーム事業は、事業間の技術の組み合わせの注目すべき成功事例です。そのコア技術は、画像半導体、プロセッサ技術、テレビ事業などで培った画像信号処理技術、ウォークマン・ヘッドホン開発で培った音響技術、通信・ネットワーク技術などを組み合わせてつくられています。

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