コラム

  1. HOME
  2. コラム
  3. グローバルエイジ
  4. 改革プロジェクトのリバウンドを防ぐ組織活動の測り方

改革プロジェクトのリバウンドを防ぐ組織活動の測り方

ニューチャーネットワークス シニアコンサルタント
張 凌雲

 「営業改革プロジェクトを実施し、対象営業所が全国1位の販売実績を獲得」「働き方改革の先行導入部署で残業時間が月40時間から月10時間に削減」など、改革プロジェクトを行い目標達成しても、プロジェクトが終了すると改革前の状態に戻ってしまう「改革プロジェクトのリバウンド」に悩む組織やリーダーは少なくありません。改革プロジェクトでストレッチ目標を掲げ、その目標達成のために一時的に猛烈に頑張ると、その辛さの反動からリバウンドが起きやすくなります。今回のコラムでは、改革プロジェクトでリバウンドが起きる原因とそれを防ぐ方法を紹介します。

■改革プロジェクトのリバウンドはなぜ起きるのか

 改革プロジェクトのリバウンドは、人間のダイエットのリバウンドと同じです。ダイエットでリバウンドが起こるのは、身体的要因と精神的要因があるとされます。身体的要因とは、食事制限のみを行い、基礎代謝量を高めたり、腸内環境を整えたりといった体質改善を行なっていないことです。企業でいえば、キャンペーン活動やアウトソーシングによる業務の外注化などの資源投入だけで、組織の生産性や改善力の向上、風土改革を行わずに、成果のみを追求しているといったケースです。また精神的要因とは、過度の食事制限や運動負荷によるストレス、目標達成後のモチベーション低下などです。企業でいえば、現場への負荷が大きいプロジェクトほど、その大変さの反動から「もう同じことはしたくない」と思い、改革活動への拒絶反応が生じるといったケースです。またストレッチ目標を達成した組織はトップや周囲から称賛され、そこで満足して継続的な改革活動が行われないといったケースです。
 改革プロジェクトの目標を達成できたとしても、以下のような場合は、リバウンドが起こる可能性が高いといえます。

 •売上高前年比150%、残業時間8割削減など結果だけが評価され、成果を出す過程の活動は
  全く評価されなかった。
 •トップからの一方的な掛け声によりプロジェクトが始まり、現場の「やらされ感」を
  拭えないまま取り組んだ。
 •改革プロジェクト活動中に行っていた成果の測定やフィードバック、承認といったプロセスが
  いつの間にかなくなった。
 •改革プロジェクト終了後、数年経っているが、同じ成果指標、プロセス指標を使い続けている。
 •活動が限定的、属人的な取り組みのままで、組織展開、標準化が行われていない。

 ダイエットで生活習慣の見直しが必要なように、組織の改革活動では、組織とそこで働く人に染み付いた価値観や行動様式を変える必要があります。改革のゴールとなる目標を達成する過程で、自分たちの何を変えるべきか、何が変わったかを認識させるために、成果を出すまでのプロセスを「測る」ことが重要です。

メルマガ会員登録

記事をご覧いただくには、メルマガ会員登録が必要です。
メルマガ会員登録は、無料です。
是非、この機会に、メルマガ会員登録をお願い致します。
メルマガ会員登録はこちらです。

ニューチャーの書籍ご紹介

『顧客経験価値を創造する商品開発入門』
『顧客経験価値を創造する商品開発入門』
「モノづくり」から「コトづくり」へ 時代に合わせたヒット商品を生み出し続けるための 組織と開発プロセスの構築方法を7つのコンセプトから詳解する実践書
高橋 透 著(中央経済社出版)
2023年6月29日発行
ISBN-13 : 978-4502462115

 

『デジタル異業種連携戦略』
『デジタル異業種連携戦略』
優れた経営資産を他社と組み合わせ新たな事業を創造する
高橋 透 著(中央経済社出版)
2019年11月13日発行
ISBN-13 : 978-4502318511

 

『技術マーケティング戦略』
『技術マーケティング戦略』
技術力でビジネスモデルを制する革新的手法
高橋 透 著(中央経済社出版)
2016年9月22日発行
ISBN-10: 4502199214

 

『勝ち抜く戦略実践のための競合分析手法』
『勝ち抜く戦略実践のための競合分析手法』
「エコシステム・ビジネスモデル」「バリューチェーン」「製品・サービス」3階層連動の分析により、勝利を導く戦略を編み出す!
高橋 透 著(中央経済社出版)
2015年1月20日発行
ISBN:978-4-502-12521-8