
仕事の目的・成果を常に意識することの重要性を再確認する
人手不足、残業規制による絶対的な労働時間の減少。これらが今の日本企業の成長の制約条件の一つになっています。企業は、テレワークの導入及び対象者の拡大といった働き方のルールの見直しや業務効率化支援システムの活用など、仕事の生産性向上のためにさまざまな取り組みを行っています。しかしながら、仕事に対する考え方、仕事のやり方をすぐに変えることは難しく、残業時間は削減できても、生産性の向上にはまだまだ時間がかかりそうです。仕事に対する考え方、やり方を変えられない原因の一つは、仕事の目的と成果を常に意識していないことです。仕事の目的と成果を曖昧にしたままで仕事を行うと、以下のような状況に陥り、組織の生産性の低下を招くことになります。
- 成果、期限が定まっていないので、自分の成果イメージとやり方、ペースで突っ走る
- 仕事の整理・整頓ができずに、あれもこれも行ってしまう
- 成果として何をどこまでやったらいいのか分からないため、必要のないことまで行ってしまう
- 仕事の成果イメージが上司と合っていないため、手戻りが発生してしまう
仕事の目的と成果の定義・共有がどの程度なされているかによって、生産性に大きく影響を及ぼす個人のモチベーションや、仕事の評価、個人・組織の成長度合いに違いがでてきます。
■仕事の目的と成果を定義し、共有することの効果
①仕事に対するモチベーション向上につながる
仕事の目的と成果を定義するということは、誰に対して何のために仕事をしているかを明確にすることであり、自分が行っている仕事の意義を認識することです。自分が今行っている仕事の意義が分からないまま仕事をしていては、仕事に対するモチベーションが上がらず、責任感も生まれません。目的がない状態で、人の意欲を高め続けることは難しく、仕事に対するエネルギーがなくなってしまいます。個々の仕事の目的と成果を定義することは、その仕事をする人への期待値を示すことです。組織からの期待を目的・成果という形で示し、自分の仕事の意義を感じてもらうことで、仕事へのモチベーションを高めていきます。
②仕事を定量的に管理できる
統計的品質管理を広く普及させた W・エドワーズ・デミング博士は、「定義できないものは管理できない、管理できないものは測定できない、測定できないものは改善できない」としています。仕事の目的・成果を定義することは、仕事の進捗の定量的な管理を可能にします。仕事の進捗状況を定量的に測定することで、成果到達までのプロセスの評価が可能になります。
定量的な管理で重要なのは、仕事を行った実績時間だけではありません。仕事を計画する際の所要時間の見積りも重要です。仕事の所要時間が見積もれないということは、求められる成果レベルを理解していない、理解していても、具体的にどのような作業をすべきかイメージできていないということになります。
③仕事の取り組み方が変わる
仕事の目的と成果目標が決まると、目標達成に向けて「どの仕事から着手すべきか」、限られた時間の中で目的と関係のない「やめるべき仕事は何か」、常に仕事の優先順位を考えながら仕事に取り組むことになります。
仕事の取り組み方を見直すのは、成果目標に達していない場合と成果目標を大きく上回った場合です。成果目標に達していない場合は、目標未達の原因を追求し、問題点を明らかにして改善に取り組みます。成果目標を大きく上回った場合は、能力に対して成果目標が低く設定されていた、または過剰に資源を投入したということが考えられます。担当者の能力に見合った仕事を割り当てる、その仕事にかける時間を減らすなど、資源配分の見直し行います。慣れている仕事、自分の得意分野に関しては、必要以上に時間をかけてしまう、または他人に任せずに全て自分で行ってしまう傾向があります。仕事の目的・成果を定義することで、誰がどれくらいその仕事を行うか、組織全体で見直す必要があります。
④仕事を通じて成長を促す
仕事の成果が曖昧な場合は、自分で成果レベルを設定し、自分が今持っている情報と能力の範囲で仕事をする傾向にあります。そのため、本人の成長は望めません。
仕事の成果を明確にした上で、成果目標を設定する際には、目標達成に必要となるインプットの質と量、具体的な取り組み方法を考えさせます。高い成果目標を設定することで、新たな知識習得・情報収集と、これまで行っていない取り組みにチャレンジする必要が出てきます。これにより、仕事を通じて個人の成長を促すことができます。
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