社内イノベータ発掘と高利益マネジメントサイクルの構築

第4回 重点課題の技術的解決策検討から開発、量産化、そして市場浸透まで
今回のコラムでは、「社内イノベータ発掘と高利益マネジメントサイクルの構築」について続きを書きたい。前回執筆したのが昨年でだいぶ時間が経ったせいか、「そういえば福島さん、コラムの続きは書かないんですか?」と何人かのクライアントに言われてしまった。
大分時間が経ってしまっているので、改めて「社内イノベータの思考と行動」の全体を示し、概要を説明しておきたい(図1)。
「ステップ1. 」として顧客の重要課題をまず発見し、「ステップ2.」でその課題の本質を深く理解する。そして「ステップ3.」で技術的に課題解決の検討を行い、「ステップ4.」と「ステップ5.」の後工程で製品化、事業化を行っていくという流れである。
ステップと表現してあるが、実際にはこれらを行ったり来たりしながら進んでいく。ここは十分な時間をかけて粘り強く行う必要があり、技術に携わる者としてのフィロソフィーや信念が不可欠である。
事業化のためには多くのメンバーの力が必要であり、他メンバーを巻き込むための魅力的なビジョンを掲げたリーダーシップが必要となる。また課題によっては自分の従来の知識で足りないことも当然発生する。その際には足りない知識に自ら気づき、自ら学習を行う。そして新しい事業を行うことは既存事業との対立もあるため、社内政治への対応も必要となる。最後に、上記のような活動すべてを一人孤立無援の状態で行うのは無理なため、支援してくれる組織体制・社内インフラやトップのコミットメントが大前提である。
今回は図1における「ステップ3. 課題解決のための技術的解決アプローチ検討」についてお話する。そして「ステップ4. 製品開発・量産」から「ステップ5. 市場浸透」のポイントにも触れていく。
「ステップ3.」では、まず顧客の重要課題を解決するためにどのような製品をつくるべきかを企画する。詳しくは以前小職が執筆したコラム「高利益を達成するための生産財マーケティングとは(2)」を参照していただきたいが、マスカスタム製品を企画することがポイントとなる。複数顧客にアプローチして、同様の重要課題をもっているかを調査・ヒアリングし、一定以上の市場規模があることを確認する。
その製品を具現化するための技術開発課題を明確にして、解決アプローチを検討する。複数の技術的アプローチをリストアップし、効果性や実現性から有望な技術的アプローチを絞る。その際には、下記が重要なポイントとなる。
ポイント①: まず既存技術で対応できないかを検討する。
技術開発は大変な工数やコストを要することであり、常に新しい技術を開発する必要はない。技術開発に取り組む前に、すでにそのような技術が世の中に存在していないかを検討する。もし使えそうな技術があれば、その活用も考える。とにかく自社で開発した技術でないと使わないという姿勢ではなく、顧客の課題を解決することが第一であることを忘れてはいけない。既存技術では不十分であれば、自社で開発することになる。
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