高橋 透 新刊「90日で絶対目標達成するリーダーになる方法」
2014年2月28日に「90日で絶対目標達成するリーダーになる方法」(SBクリエイティブ)を出版します。約2年ぶりの新刊です。今回の本は、弊社ニューチャーネットワークスが、“ブレークスループロジェクト”で約10年間、500以上のプロジェクトで経験してきたことをコンパクトにまとめたものです。
本書の内容をまとめていうと次のようになります。
3年の中期計画、1年の年度計画などは、90日という短期のゴールに置き換えることで、週単位、日単位の具体的なアクションが見え、全力投球しやすくなります。目標を細かく区切ることで、そのつど成功体験を味わえ、その結果、行動量、質ともに高まり、成功が加速化するという考えです。昨今のように短期間に市場が変化する時代には、時間をかけて戦略計画を策定することよりも、現場での実行とそのフィードバックに重点を置き、現場でのトライアル・アンド・エラーの中から結果に結びつく戦略を創発していくという「組織の学習」を重視する方法論が効果的です。
今回の新刊「90日で絶対目標達成するリーダーになる方法」は、このブレークスループロジェクトのリーダーに焦点を当て、実践方法をわかりやすくまとめたものです。
本書をまとめるに当たっては、クライアントの皆様が多くの機会を弊社に与えて下さったことによって「学習」した一つの成果です。この場を借りて、皆様に心からお礼申し上げます。
■3つのパートでの構成
本書は大きく3つのパートで構成されています。はじめは、「『なぜ90日』が効果的なのか」について、つまり本書で「90日目標達成プロジェクト」と呼ばれる仕事の仕方に関する、背景認識、従来とは全く異なる考え方、実践する際のいくつかの重要なポイントを説明しています。
二つ目は、「90日間のリーダーの週単位のやるべきこと」です。90日を30日単位、さらには週単位に分け、各週でリーダーは何をすべきかを解説しています。ここでは、行動科学的な視点に立って人の心理面を重視したリーダーシップのコツを紹介しています。
最後に、「自分自身も90日で変えよう」と題し、「90日目標達成プロジェクト」を個人で実行するための考え方を説明しています。個人の90日プロジェクトで、自分自身を変えることをどうリードするかに関してまとめてみました。
■パート1 「なぜ90日」が効果的なのか?
「先が見えているから成功するわけではない」。本書は、この考え方から始まっています。多くのコンサルティングの仕事の経験から、成功する経営者や管理職、リーダーは仕事や生活の先行きが見えているから成功するのではありません。長期のビジョンを遠目に見ながら、目の前の重要な課題に全力投球し、そこから彼らの中に将来を切り開く力がついて、その結果として、継続して結果が出せていることを述べています。このことはビジネスだけでなく、プロスポーツやプロの棋士、プロゲーマーなど「プロ」呼ばれる、常に結果を出さなければいけない人に共通することです。
次に「なぜ90日」で目標を設定するのが効果的なのかを「90日で目標達成する成功要因」として解説しています。成功要因とは以下のものです。
成功要因① 90日では、準備や計画に無駄な時間を使わない
成功要因② 90日では、結果に直結する行動だけを考える
成功要因③ 90日では、手持ちの駒で勝負する
成功要因④ 90日では、小さな成功から勢いをつける
成功要因⑤ 90日では、いまやったかやらないかを確認する
成功要因⑥ 90日では、修羅場を乗り切れる
成功要因⑦ 90日では、成功し始めたら3倍速でやる
これらの成功要因は、90日目標達成プロジェクトのいわば「基本コンセプト」といえるものです。
さらに90日目標達成プロジェクトをスタートとさせる前の準備作業を3つに分けて解説しています。
90日目標達成準備①:明確に伝わるビジョンとは
成長機会をとらえる感性をみがけ/“参加させてください”と言ってもらえるか/面白そうなストーリーを語れるか/これまでの努力が通用しないこと、運の良さの大切さを訴えろ/目標はメンバーに相談しない/ビジョンと目標を伝える場をつくる/くさい言葉で伝える/全員が納得するまであの手この手で伝える
90日目標達成準備②:プロジェクトのアイデアはどのようにして出すのか
リーダーが参加してはいけない4つの理由/プロジェクトには多様なメンバーを入れる/プロジェクトの範囲、ゴールを設定する/アイデア出しの「場づくり」に気をつかう/常識を超えたアイデアを創発する/アイデアの実行優先順位という発想を持つ/90日でも展開シナリオを持つ/90日のアクションプランを考える/プロジェクトに巻き込む人はだれか
90日目標達成準備③:絶対達成する状況をつくる
みなの前で宣言する/顧客や上司、キーパーソンと約束する/90日後の報告日時を決める/やるべきことを数値化する/メンバー以外のチェッカーを決める/毎日の達成状況を公表する/メンバーのプライドをくすぐる/「やれない」「やらない」の理由を語らせない/実行することを習慣化する/毎日声を掛け、相談にのる
■パート2 90日間のリーダーの週単位のやるべきこと
パート2では、週単位でリーダーのやるべきこと具体的に解説しています。ここで紹介するやるべきことの多くは、目標達成行動を起こすその時々のメンバーの心理を想定しています。チームで目標達成するには、リーダーはメンバーの気持ちをつかんでいなければなりません。パート2では、弊社のコンサルティングの実践経験に基づき心理面を考慮した実践的リーダーシップのコツを分かりやすく説明しています。
1か月:~30日
第1週 一にも二にもまず行動
第2週 成功の味を覚えさせる
第3週 優先順位を見直す
第4週 新たな行動を起こす
2か月:~60日
第5週 トライアル・アンド・エラーを徹底する
第6週 モチベーションを高める
第7週 独自の解決策を見つける
第8週 リーダーとして勝負をかける
3か月:~90日
第9週 資源を集中させる
第10週 加速度をつける
第11週 成功が成功を生む
第12~13週 次の目標を定める
■パート3「90日目標達成プロジェクト」を個人で実行するための考え方と方法
パート3では「90日目標達成プロジェクト」を個人で実行するための考え方と方法を紹介しています。「90日目標達成プロジェクト」をチームで行うにはそれなりの準備が必要ですが、個人だと今日からでもできます。個人で取り組んでおけば、チームで実行する際にもその経験が活かせます。
今ここに生きる楽しさ
90日目標達成プロジェクトはプロの方法論
自分自身も90日で変えよう
個人で行う90日プロジェクトの考え方と方法
個人の方法① 周りに感謝する気持ちを持ち、与えられた環境を受け入れる
個人の方法② 個人でも周りを巻き込む
個人の方法③ 結果にこだわり常に勝負する
個人の方法④ シンプルな目標と計画を立てる
個人の方法⑤ 個人でも一にも二にも行動
個人の方法⑥ 毎日の生活で取り組む時間を決める
個人の方法⑦ 失敗を気にせず、行動することそのものを楽しみ没頭する
本書の著作作業を通じて、私自身強く感じたのは、時代が大きく変わったということです。大きく、長期間の戦略構想を立て、それを複数のプロジェクトに分け、詳細な計画を策定するという計画型の経営は、現実的ではありません。中長期には大きな魅力的なビジョンと、大まかなシナリオをもつことで十分で、優先的な重要課題を短期に突破し続けることが大事ということです。課題の突破を通じ、結果的に環境変化に対応できる組織体質ができ、将来が切り拓かれていきます。その際に大事なことは、人の気持ちを理解すること、仲間で働き目標を達成することのエキサイティングさを体験すること、結果を出すことが最大のモチベーションになることなど、極めて人間臭いことばかりです。その点では、本書も私の考え、知識、スキルもまだまだ未熟だと感じております。探求は始まったばかりで、私一人ではなく、みなさんも含めたチームで取り組まなければなりません。
皆様方に是非この機会に、本書をご購読いただき、建設的なご批判、ご意見をいただければ幸いです。