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改善の習慣~優れた業績を出す人や組織の共通点は何か~

ニューチャーネットワークス 代表取締役
高橋 透

 優れた業績を出す人や組織の共通点は「改善すること」が習慣になっていることです。つまり長期的なビジョンや理念を持ち、それに向かって小さな試行錯誤を通じて改善していくこと、小さな失敗を受け入れ、コツコツとより良くする努力をすることです。一方、破綻する人や組織は、短期的な利益に固執し、失敗を認めたがらず、時に大きな賭けに出て、取り返しのつかない失敗に陥ることが多いと思います。分相応な投資と構造改革と称してリストラを繰りかえす企業、コンプラ違反で破綻する会社、成長もなく転職をくり返す人など、失敗の大きな原因の一つに「改善する習慣がないこと」があると言えます。

 

①習慣としての改善はなぜ重要なのか?

 改善とは、ごく身近な小さなことでも、本来のあるべき姿を想定し、現状とのギャップを見つけ、その課題を解決するためのアイデアを出し実行して、あるべき姿を達成させることです。さらにそれを維持し継続することです。「安全のためのモノの置場の改善」「効率的な動きのための設備レイアウトの改善」「ミスをなくするためのチェック方法の改善」など改善の効果はごくごく小さなものです。「戦略」という概念とは対極にある限定された小さな行為と成果です。今すぐに、誰でもできるものです。

「日本企業は現場の改善力はあるが戦略力が低い」よく言われる話しですが、果たしてそれは正しいのでしょうか。みなさんの周りで、長期的に高業績を獲得している企業や組織、人を思い浮かべてください。地味、マメ、コツコツ、臆病、粘り強い、正直、動きが速い、現場主義など「改善力」がベースになっていると思います。成功の基盤とは決して大胆な戦略ではなく、このコツコツ改善の習慣だと思います。

 ではなぜ「改善の習慣」が重要なのでしょうか。改善を分解していくと、「今現在を成功と認めない」「今この瞬間は失敗しているのではないか」と言う現状否定の精神があります。言い方を変えると「常に小さな失敗を認める精神」が根底にあります。では小さな失敗はなぜ起こるのかをさらに考えてみると、人や組織の世の中からのズレみたいなものが生じているからです。その世の中からのズレとは、自身の思い込みや過去のやり方への固執、エゴへのこだわりから発生するものです。これを放置すると、積み重なって大きなズレに繋がり、取り返しのつかない状態に陥ってしまうことがあります。世の中からのズレを継続的に修正しておけば、世の中から大きく置いてかれることはありません。常にトレンドに沿った、時には先取りした行動がとれ良い結果をつかめると思います。

 この様に改善の習慣とは、小さな失敗を認め、世の中の流れに沿った自己修正を繰り返す「思考や行動の習慣」です。小さな失敗を認め、自己修正が出来なければ、大きな自己修正である戦略的な行動は成功するはずがありません。たとえ効果的な戦略を打ったとしてもその効果を引き出す、人と組織の意識が変わっていないからです。

 コンプライアンス違反を犯してしまう会社、社運をかけた大きな投資で取り返しのつかない失敗を犯す企業は、偶然または先人がつくり上げた過去の成功から抜け出せず、プライドだけが高く、小さな改善を軽視し、大胆な戦略を欲しがる傾向が高いと思います。個人も同じ構図だと思います。

 

②小さな改善がなぜ継続した高業績に繋がるのか?

 しかし、小さな改善がなぜ継続した高業績に繋がるのでしょうか?論理的には小さな改善よりもより効果のある大きな戦略が効果的に思えます。そこで小さな改善がいかに起こるかに着目し、考えてみました。

 小さな改善にはあるべき姿を描けていることが前提にあります。あるべき姿は何処からくるかを考えると、その原点は人や組織が永続的にもつ理想の姿にあります。企業でいうと経営理念やビジョンなど永続的、長期的な概念のイメージングです。永続的、長期的な概念のイメージングが人の脳の中に常に存在するからこそ、現場を見たとき、「何かおかしいな」「これではいけない」と「気付く」のです。また今の自分を健全に否定できるのです。永続的、長期的な概念のイメージングが無ければ「気付く」ことも積極的な自己否定もありません。常に永続的、長期的な概念のイメージングをもって現状を変化させていれば、大胆な構造改革は必要なくなります。大胆な構造改革も時には必要ですが、高いリスクを伴います。また構造改革を成功させるためには当然自己改革の基盤力が必須で、それが日常の小さな改善で培われていなければなりません。

 この様に小さな改善を習慣に持つ人や組織は、常に現場から目を離さず、世の中に流れにそって自己を変容させ、時にチャンスがあればそれに乗じて、自己の体力にあった投資やチャレンジを行い、確実に継続的に高業績を出し成長してきます。

 一方業績が悪い会社ほど、経営者や管理職は現場から遠いところにいます。その様な組織では、本社の大勢のスタッフが「大きく立派な戦略」を、時間をかけて企画し、大きな資源を使って改革や戦略を行おうとします。しかし計画を立てた経営者やスタッフは実行や結果にはコミットしません。さらには計画の段階から失敗の理由、言い訳を考え、自分への批判への対応に備えます。これを個人にあてはめて言えば、自己の現実を直視せずに傍観者的姿勢を持ち続けることです。業績が悪い人や組織とは、一言で言えば「現場直視の姿勢がなく、無責任な評論家的姿勢」であるということです。

 

③未来のシナリオは予測が難しく、いかに改善し、自己変容しつづけられるかが勝負

 シナリオプランニングなど、将来の事業環境を予測する手法があります。また世界中の多くの優れたアナリストの未来予測のレポートも数多く存在します。それらは常に自分自身の意識を未来に置き、そこから発想するとういうことでは大変重要であると思います。しかしたいがい未来予想と現実は異なり、予想通りのことはあまりありません。本質的には未来は予想が難しいものです。

 人はたまたま成功すると予想が的中した、戦略が当たったと思い込む傾向があります。しかし実態は様々な偶然が重なり結果として成功したケースも多いのです。気をつけなければいけないのは、偶然ラッキーで当たったにも関わらず、それを実力と過信してしまうことです。また過去の先輩の努力が、自分の担当の時代にたまたま成功したと言うケースも同じです。成功の要因を自分の戦略や施策と思い込むことです。その様な自分の力を過信した人や組織は、二匹目のどじょうを狙って大きな賭けに出ることが多いです。そしてあっけなく失敗します。

 それに対して改善する習慣のある人や組織は、たとえトレンドが読めない状態でも長期的な視点に立ち、小さな失敗を受け入れ、世の中の流れの変化と自己の状態とギャップをいち早く感じ取り、自己変容します。必死になってそういったこと繰り返しながら前進し、振り返ってみると大きな世の中の流れの変化を感じるのです。そして「あの時あの手を打っていなかったら今は無いな」とぞっとし、またその不確実性の中での自己変容を一種ゲームの様な感覚で、良い緊張感とて維持し続けるのです。

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