
生産財におけるグローバル・マーケティング戦略とは⑤
新商品・新事業開発「グローバル・マーケティング」
前回のコラムでは未来シナリオ構想の特徴やベネフィットについて紹介した。今回はその続きとして、未来シナリオ構想の具体的なステップについて説明したい。未来シナリオ構想は、以下に示すように大きく4つのステップにしたがって行うとよい。
■ステップ1.キーパーソンが参加したくなる魅力的なテーマの設定
未来シナリオ構想においては、多様なメンバーによる創発的な対話が必要である。特に各分野について高い知見をもつキーパーソンの参加が必要である。そのためには、キーパーソンが参加したくなるような、知的好奇心を刺激する魅力的なテーマの設定が必要である。
まず、未来シナリオ構想にて検討する範囲を、時間軸(何年後の未来か)、市場分野、地理軸(ローカル or グローバル)といった視点から設定する。
例えば時間軸としては、「何年後の未来について」議論を行うのかという視点を設定する。ここでは、3年以上の5年から10年、20年オーダーで時間軸を設定するのがポイントである。普段、3年というのは一つの思考の節目になっていないだろうか。我々は小学校や中学校のときから3年を一つの節目で考える思考のくせがいつの間にかできあがっている。そのようなこともあり3年という時間軸の設定では、いまの事業スキームを基本的に変更せずにその延長でなんとかしようとする思考に自然になってしまう。
この「3年時計」から脱却する為、あえて5年から10年という時間軸で未来を考えると視野が広がり、市場や社会のトレンドの重要な変化を俯瞰的に見て意識するようになる。例えば「当面の自動車の販売動向」といった目の前の変化だけでなく、「燃料電池自動車の登場によって、自動車業界の主なプレイヤーはどのように変化するか」といった具合である。
このように、時間軸だけでなく市場領域や地理的な範囲などについても、思考を変えるために大きく広げてみるのは効果がある。
範囲を設定したあとは、自社メンバーの範囲でシナリオプランニングの手法にしたがってシナリオの策定を行って行く(図1)。
(図1)
手順は5つである。まず市場や社会といった環境変動要因をリストアップし、その中で業界や社会へのインパクトの大きい要因を選定する。次に変動要因のうち不確実性の高い要因については、複数の変化シナリオを想定する。それによって3-5つ程度のシナリオを構想する。そして最後に、その変化が業界や自社にどのような影響があるのかを検討する。これらの取り組みは、基本的に新聞や雑誌、調査レポートなどの二次情報をベースに行っていく。
このようにしてまずは自分なりに未来シナリオの構想と戦略仮説を想定し、社会や環境、政治などの大きな視点から見て、多様なメンバーとの創発的な議論に値するテーマをつくりあげる。特に有望顧客企業のキーパーソンが参加しやすいように、有望顧客企業の中長期戦略と整合性のあるテーマになるよう工夫するとよい。
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