
ひとりブレークスループロジェクトにトライしよう
1月23日のコラムでも紹介した通り、弊社では10年以上に渡って「ブレークスループロジェクト」に取り組んできている。ブレークスループロジェクトとは、簡単にまとめると、「大規模な戦略プロジェクトを、そのコンテクストを維持したまま、すぐに取り組めるゴールを設定して再生成した短期のプロジェクト活動」である。
我々のお客様に対してブレークスループロジェクトを説明すると、「ブレークスループロジェクトのようなことは、当たり前すぎてコンサルタントの力を借りるまでもないよ」「自分たちだけでは分からない、もっと高度な戦略を教えてほしい。何をやるか分かれば当社の実行は早いはず」といったご意見をいただくことも多い。
しかしながら、長期的なゴールや戦略が明確になったとしても、“いっこうに成果が出ない”のはなぜか? 単純な、当たり前なことが出来ないはなぜか? また一方で、ひとたびブレークスループロジェクトという環境をセットすると、瞬く間に組織が活性化し、成果が出始めるのはなぜなのだろうか?
それは、世の中がすっかり変化したからである。では一体どのように変化したのだろうか?
話は変わるが、私が最近注目する方に、放送作家の小山薫堂さんがおられる。ご存知の方も多いとは思うが、小山さんは、2008年に公開され、翌年の米アカデミー賞外国語映画賞を受賞した映画「おくりびと」などの脚本を手掛ける超著名放送作家である。「ゆるキャラグランプリ」を受賞した、熊本県のキャラクター「くまもん」の制作や、作詞や童話の執筆など幅広い活動をされている。
私は小山さんとの直接の面識はないが、著書や活動に注目している。なぜ小山さんに注目するのかというと、それは、小山さんの作品の原点が、ご自身も含めた一般市民の日常生活であるためだ。たとえば近所のお弁当屋さんの弁当の企画をボランティアで手掛けたり、日光金谷ホテルの活性化のために魅力的なデザインの社員バッチを作ったり、空き部屋を“小山ルーム”にしたり、ご自身の会社の受付をパン屋さんにしたり、小山さんの活動は周りが元気になる企画ばかりである。これらの活動を、ご本人は“つまらない日常を特別な記念日に変える発想”と言っておられる。
小山薫堂さんとブレークスループロジェクトの共通点
ブレークスループロジェクトと小山さんの活動がどう関係するのか? 共通点は以下のようなものであると考える。
- 日常のありふれた小さな変化の中に、大きな変革や成功のヒントがあると考える
- 自分の考える大きなアイデアや計画を、会社のトップや権威のある人に手間と時間をかけて売り込むよりも、身近にいる一般の人を今ここで喜ばせたいと思う気持ちと具体的なアクションが効果的である
- 一見つまらなそうな日常をドラマチックに変え、現場を生き生きさせることが大事と考える
- 実行するプロセスが楽しいと感じること、瞬間、瞬間が充実していると感じることが大事だと考える
- 過去のやり方に一切こだわらない。新しいやり方を試してみる
- 自分自身が楽しいと思えることを大事にする。予測できないことや失敗を楽しむ
- 自分のやり方をおしつけるのではなく周りの人との「共感」を大事にする
また、以下のような問題意識が共通してあると思われる。
- 周辺の状況変化を自分の実感として感じ取れる“場”と“センサー”を持たないと、世の中からズレ続けてしまう
- 過去のやり方、自分の考えをあてはめようと思っても世の中(具体的には消費者やお客様心理)は常に変化していて、全く通用しない。その心情の変化がきわめて速い
- 世の中の些細な現象が、人の心理に影響し、国内/海外に瞬く間に広まる。論理的には予想できない(しかし心理的なものの把握が出来ればある程度は予想が付きそうである)
- 変化を敏感に感じるには、自分から何かを発信し、主観的にものごとに関わっていかなければ何も見えない。机にすわってネット情報を分析し、難しい本を読んでそれをあてはめようと思っても通用しない。
問題意識として挙げた上記の様なことの通り、今、社会は過去とはまったく違う状況になりつつある。新たな感性とアクションが必要と感じていただけたのはないかと思う。
しかし一方で「自分の会社は、微妙な変化を感じ取れるカルチャーからは程遠いなぁ」「どうしても理論や方式にこだわりすぎて、心理的な変化までキャッチできるセンスがないなぁ。どちらかと言うと苦手だなぁ」と感じる人も多いと思う。多くの会社やご担当の方が同じような悩みを抱えておられる。しかし私はきわめて楽観的に考える。
その答えは単純明快で、「今から一人でブレークスループロジェクトをやってみよう」である。
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