
「製造業における知的財産戦略の基本的考え方」(3)
■ 国際マーケットにおける日本企業の取り組み
ではどうするか。日本メーカーとしては協調して国産技術を国際 標準にし、その上で参入障壁を無くすことです。国際標準だったらブロックできないで すから。国際標準とってから国際マーケットで競争するという戦略を真剣にやらないと恐らく次の時代は負けるのではないかと私は思っています。予想ではなく て、これはもう流れなのです。
中国はご承知のように模倣の国だっていっていますけど現実には司法が機能する環境を急ピッ チでつくっているのです。弁護士を養成して年間2万5千 人とか3万人とか言っています。10年経ったら25万人位の弁護士が育つのです。そういう人たちは何の仕事をするでしょうか。司法に行くわけです。司法が 機能して、どこへ向けて司法を活用するのかといったら恐らく外国の企業になります。要するに外国企業を特許権侵害で攻めて、損害賠償をとる、差し止め請求 をして、事業を止めるという活動は相当でてくるだろうと思います。
今、日本勢が騒いで中国に対して猛然と模倣品の差し止 めの活動を起こしていますが、ほとんどが行政処分です。差し止めてくれますが、調査費用を費 やしてもお金は入ってこないのです。一方、最近調べた人の話では中国側からの侵害訴訟で外国企業が多額の損害賠償を払った事件、最近の例だとヨーロッパの 企業が負けて60億円ほど払った例があるようです。侵害訴訟で中国企業がそんなに損害賠償を払ったことは今までないと思います。ですから私の予想が当たっ ていてもう、始まっていたのかと思いました。
中国が模倣の国だと思ったら大間違いで、最先端の技術を相当もっているのです。優秀な人たちがいるのです。
私は危惧していることがあります。日本メーカーで中国語のソフトをつくれるところはあるのでしょうか。多くは恐らく中国に頼っているのではないで しょうか。日本のメーカーは中国語のソフトなくして中国のマーケットには入れないはずですから、ビジネスの首根っこを全部押さえられているということなの です。仮に、中国側で少しソフトの提供を遅らせただけで 日本メーカーの事業計画が6か月、1年と狂います。そうなったら中国のマーケットでは競争できま せん。代替開発先を持っているのでしょうか。インドのソフト産業は素晴らしいというけれど中国語まではできないでしょう。英語のソフトは得意でしょうが。 台湾など、どこからか調達できる道を開いていないと中国がその気になったら日本メーカーをガタガタにできるのだと思います。こういう危機感をもってリスク マネジメントを考えなくてはいけないのです。今はすごく大変なのです。
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