
今まで動かなかった組織が動き出すまでの取り組み
先日、以前コラム『改善目標を「達成できる組織」と「達成できない組織」の違い』で紹介したD工場を弊社の同僚が訪問した際に、その会社の経営トップが、「うちの現場に溶け込んだコンサルタントは、後にも先にも張さんだけだった」と話していたと聞きました。昨年、私自身が訪問したときにも改善の成果を目の当たりにし、自分がその成果にわずかでも貢献できたことをコンサルティングの仕事に関わっている身として大変うれしく思いましたが、経営トップにそのように言っていただけて、コンサルタント冥利に尽きる思いがしました。
D工場で最も苦労したのは、改革・改善の必要性を感じていなかった組織に「やってみよう」という意識を持ってもらうことでした。同じような事は、D工場だけでなく他のいくつもの組織でもありました。前回のコラムでは、企画した改革・改善策をどうやって現場で実行させるかの仕組み・仕掛けを紹介しました。今回は、より掘り下げて、なかなか動かなかった組織が動き出すに至った点に着目し、具体的な取り組みを紹介したいと思います。
■組織が動き出すタイミングを見逃さないために
今のままでも当面は問題ない、という意識の現場に対して、改革・改善の呼びかけをしても取り付く島もないことはよくあります。しかし、改革・改善の企画を立て現場へ何度も行き、押しても引いても動かない組織でも、一緒に現場へ働きかけをしている顧客の担当者と「え、どうしたの?」と意表を突かれるほどに組織が急に動き出し、一気に改革・改善への取り組みが始まることがあります。このタイミングとは、現場と私達のコミュニケーションにより信頼関係が深まり、以下のようなことが見られるようになった時です。
- 反対勢力でこれまでミーティングに出てくれなかった人が、ミーティングに参加してくれるようになった。
- 打合せでこちらの提案に常に否定的だったのが、肯定的な意見がでてきた。または、建設的な反対意見がでるようになった。
- 自分たちが「こうしたい」という思いを話すようになった。
- 現場に行ったときに、向こうから挨拶してくれたり、話しかけられたりするようになった。
- プライベートの話をしてくれるようになった。
上記のようなことから、現場と改革・改善の支援者との関係の変化に気づくことが重要です。現場のやる気が出た時に、すかさず具体的なアクションを起こします。この時初めてスモールスタート、成功体験の積み重ねなど、改革・改善活動で言われている取り組みに移ることができます。
せっかくやる気を出したのに、上司や改革担当者の対応が遅れたために、燃え上がった火が鎮火してしまったケースもあります。タイミングを逃すと、「なんだ、上が言う改革は口だけか」、「何を言っても、やってもムダ」という学習性無力感が生まれ、改革・改善への道がさらに遠のいてしまいます。
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