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戦略・改革が実行段階で躓く原因と、現場を上手く動かし成果を出す方法

ニューチャーネットワークス コンサルタント
張 凌雲

 私がコンサルティングの仕事に携わりはじめた頃、お客様から「戦略の企画が良くても、現場が実践しなければ意味がなく、いかに現場に動いてもらうかが重要」と度々言われていました。実際に各種戦略、改革活動を支援している中で、現場を動かすことの難しさを常々感じています。今回は、戦略や改革が実行段階で躓く原因と、躓きを防ぎ、現場を上手く動かし成果を出す方法を紹介します。

■戦略・改革が実行段階で躓く4つのケース

 戦略や改革の明確な達成目標と進捗を管理するKPI(評価指標)を設定し、あとは現場で実行するだけ。しかし、現場は一向に取り組まない、成果が出ないという状況に直面している経営トップや企画担当者は多いと思います。この状況は、戦略や改革の立案と実行計画、実行管理において、経営トップや企画担当と現場の取り組みに対する温度差が原因です。代表的な4つのケースを紹介します。

①   企画部門が現場を巻き込まずに戦略や改革を企画・計画立案し、実行は現場に任せきりになっている
 企画担当が戦略・改革の方針、重点取り組み内容と達成目標を現場に伝えるだけで、具体的な実施策やその実行は「現場に任せきり」というケースです。企画担当が現場の状況を理解せず、一方的に重点取り組み内容と目標数字を現場に示すだけでは、現場は企画部門が経営トップから課せられた目標数字を自分たちに押し付けていると受け取ります。そのため現場は、責任を持って改革に取り組まず、目標未達の場合でも言い訳をして一向に改革が進みません。企画部門が現場を巻き込まずに戦略や改革を企画・計画立案した場合に生じるケースです。

②   企画部門が現場の主体性を信じ、現場で改革が進まない原因の対策をとっていない
 企画部門が現場を巻き込んで戦略・改革の目標、企画を立て、「現場が主体的に企画したので、責任を持って取り組んでくれるはず」と思ってもなかなか改革が進まないことがあります。経営トップや上司が現場の主体性を信じて「いつかはやってくれる」と思ってそのままになっているケースです。現場は何も自分たちで立てた企画を意図的に放置しているわけではありません。やりたくてもできないに状況に陥っている場合が多くあります。戦略や改革の実行は日々の業務と並行して行うため、十分に取り組みの時間が取れない、また関係部門・外部との調整がうまくいかず思うように進まないなど、何らかの理由があります。現場で実行が捗っていないにもかかわらず、企画部門が何ら対策をとっていないケースです。

③   組織ごとのケイパビリティや環境を考慮せずに、一部の成功事例を画一的に横展開しようとしている
 全国展開している企業の営業部門に対して、本部や企画部門が一部の営業所の成功事例を取り上げ、他の営業所にも同じように「成功事例の横展開」をするように指示しているケースです。その営業所が成果を出せたのは、戦略が良案だっただけでなく、所長のリーダーシップや所員の能力・スキル、またはエリアの事業環境など内外の要因も影響します。「○○営業所はこの方法で成果が出ているから、□□営業所でも同じように成果が出るはずだ」と結果だけ捉え、組織ごとのケイパビリティや環境を考慮せずに、画一的に戦略方針と目標を課しているケースです。

④   組織的にはメリットがあっても、実行担当者がメリットを感じていない
 具体的なやり方を示し、あとは現場で実行するだけなのに改革が進まないということは、組織改革・業務改善で多く見られます。現場で改革・改善のアイデアを検討し、それを行うことで確実に成果が出るとわかってもなかなか行動に移さないことがあります。これは組織的にはメリットがあっても、実行担当者がメリットを感じていないケースです。短期的に自分の業務負荷が増える場合は特に、実行へのモチベーションが湧かず放置されたままになります。改革・改善では、個人レベルで何が変わり、どんなメリットが得られるか納得してもらわないと施策が実行されません。

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