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顧客経験価値のための商品企画開発の実践 第4回: 商品開発プロジェクトは背景文脈で決まる

ニューチャーネットワークス 代表取締役
高橋 透

■商品開発の背景文脈とは何か?

商品開発プロジェクトでは、その背景文脈が全てと言っても良いぐらい重要です。背景文脈とは、どのような時代観、世界観、動機でそのプロジェクトが必要なのか?そしてそのプロジェクトは何を目指すのかといった、プロジェクトのフィロソフィーを物語り仕立てにしたものです。

この背景文脈が不明確であったり、社会、人の価値観の微妙な変化をとらえていなかったりすると、そのプロジェクトは、人や組織を惹きつけられません。つまり、必要な人、カネなどのリソースが確保出来ないかもしれません。もし人を巻き込めたとしても、モチベーションは沸きません。

商品開発プロジェクトは、企画開発に参加する人、そして顧客のパーソナルな動機を引き出すことが勝負なので、それらを刺激する背景文脈は特に重要です。その背景文脈は、プロジェクトをリードする人の高い問題意識、強い動機が原点となります。

企業の場合は、経営トップが持つビジネスの背景文脈レベルが顧客を含めた周りの動機付けになります。そこが勝負です。アイリスオーヤマの大山社長、ユニクロの柳井社長など、日本を代表する経営者は、自社のビジネスの背景文脈に関して独自のストーリーがあり、説得力があります。力のあるスタートアップの経営者も同じです。分野や知名度に関わらず力のある人は、自分が進めるビジネス=商品企画に関する独自の背景文脈をもっています。

■どのようにしたら説得力のある背景文脈を生み出せるのか。

私の考えですが、説得力のある背景文脈とは、哲学や歴史学などの永いあいだ人が思考を重ねた普遍性のあるものの考え方を、対象の商品企画に投影させ独自の考え方を生み出したものだと思います。ある人は自分の経験からそれを見つけ出し、ある人は哲学や歴史を学び、思考を重ねていくことでそれを生み出しています。その両方とも言えます。

今後の社会、経済がどのようになるかは誰にもわからない中で、自分独自のインサイトを示さないといけません。正解を出すのではなく、「鋭くかつ前向きな問題提起」で良いと思います。「価値」に関わる議論ですからそういったことが問われます。

■商品企画での背景文脈の構築方法

商品開発プロジェクトの背景文脈は、具体的には、プロジェクトの背景・問題意識、与件、目的、ゴール・成果などで表現される、プロジェクトリーダーやスポンサーの商品企画に対する独自のフィロソフィーです。

背景・問題意識とは、商品企画を取り巻く、社会や経済の社外の大きな潮流や、企業や組織、顧客、取引先、バリューチェーンなどの企業内外の変化、動向などに関するプロジェクトリーダーやスポンサーの独自の認識です。突き詰めれば、機会をどう見ているかに集約されます。

与件とは、プロジェクトが踏まえるべき制約条件と可能性です。企業業績の問題や、使用できる経営資源、基軸にすべき技術、スキルなどのコアコンピタンス、販売チャネルやブランド力などです。ビジネスとは制約条件と可能性を前提としたゲームですから、この与件は顧客経験価値を設計する際に大変重要な要素となります。

目的とは、商品開発プロジェクトの理念、バリューであり、いわば憲法です。この目的に強い魅力、パワーがなければなりません。目的の魅力、パワーに対しプロジェクトの関係者が賛同し、協力が得られます。背景・問題意識と連動した独自の目的設定が求められます。

ゴール・成果とは、目的が達成された時の状態を数値で表したものです。数値の設定というと機械的な感じがしますが、目標設定は表現力だと思います。状態を誰にでも分かりやすい明瞭な表現としての指標とその数値なのです。もし「適切な指標が出てこない」というのであれば、目的が達成された状態がイメージ出来ていないのです。

達成された状態がイメージされていれば、その達成状況を象徴する指標を選びます。そして目標はストレッチでなければなりません。ストレッチとは、挑戦的だが到達可能であるもので、不可能なものではありません。

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