Global Age

コラム

  1. HOME
  2. コラム
  3. グローバルエイジ
  4. 個人、組織の成長を促す働く環境のあり方

個人、組織の成長を促す働く環境のあり方

ニューチャーネットワークス シニアコンサルタント
張 凌雲

 ニューチャーネットワークスは2019年1月よりオフィスを移転いたします。ニューチャーネットワークスという組織体を柔軟かつ機動的にするために、新オフィスを京橋の東京スクエアガーデンにあるコワーキングスペース、WeWork内に構えることに致しました。正式なご案内は改めて行いますが、本移転を前に従来の麹町オフィスと併用して11月より新オフィスでも働いております。

大手企業の一部でもシェアオフィス、コワーキングスペースを活用する企業が増えています。シェアオフィスやコワーキングスペースを利用する目的として、働く場所に多様性を持たせる、業種や事業規模が異なる人たちと一緒に仕事をすることで、ネットワーキングや事業シナジーを期待するなどがあります。実際にコワーキングスペースで働くことで、自分の仕事に対する意識・行動がどのように変わるのか、1ヶ月弱の経験ではありますが、実体験をもとにまとめてみたいと思います。

■コワーキングスペースで働くことによる変化

 オフィス空間の共有を意味する「シェアオフィス」に対し、コワーキングスペースは、利用者間の交流や協業を生むことを目的とする空間とされています。(*1)コワーキングスペースごとに提供するサービスは異なりますが、部屋の利用はもちろん、会議室やセミナールーム、コピー機、来客応対、郵便の受け取り、インターネット回線、ドリンクサーバーなど、事業を行うために必要なファシリティが一通り揃っています。全てのスペースが共有となっているコワーキングスペースもありますが、弊社が利用しているWeWorkは、専用のワーキングスペース、専用のインターネット回線を設け、セキュリティ性が高いプライベートスペースとオープンな共有スペースを融合した形になっています。

 コワーキングスペースを利用するメリットとしては、オフィスの拡張性や入退去の柔軟性、ファシリティの充実といったハード面もありますが、何よりも、そこに集まっている人々によって生み出される環境が、働き方に対する考え方に変化をもたらすことが大きいと思います。

■異質性がもたらす変化

 私たちが入居しているWeWorkでは、会員の割合が大手企業3割、ベンチャー企業3割、フリーランス3割という構成になるそうです。ビジネス形態、ワークスタイルが異なる企業・個人が一堂に会する場所で働くことは、これまでの自社のみのオフィススペースでは得られない刺激があります。

①仕事のリズム、テンポが変わる

 コワーキングスペースで働いて一番インパクトを受けたのが、入居者の仕事に対する勢いやスピード感、そして仕事を楽しんでいる雰囲気を強く感じることです。コワーキングスペースは、ビジネスの立ち上がり、成長期に利用する企業が多く入っています。そのため、オフィス全体にパワーがみなぎっている感じです。ここで働くことで、自分が立ち止まっていたらドンドン抜かれていくという感覚さえ覚え、日々の仕事に緊張感をもたらしてくれます。

②コミュニティの中でビジネスの感覚が磨かれる

 コミュニティ型ワークスペースとしての共有エリアでは、さまざまな業種の人が、オープンな環境でそれぞれ情報交換や議論、打合せなどをしています。共有エリアにはドリンクサーバーやゲームなどがあり、人が自然に集まる作りになっています。周りの何気ない雑談の中から自分の知らない言葉やトピックスが自然と耳に入ってくることにより、現在のビジネスのトレンド、次に来るビジネスとの距離感を常に短くすることができます。また、同じ入居者で自分が知らなかった企業名を調べてみると、興味深い製品やサービスを提供している企業だということが分かったり、ビジネスの新しい発見を得られたりします。

③オフィスは楽しいところという感覚

 オフィスは単に仕事(作業)をする場ではなく、何か新しいものが生み出される場所という感覚が生まれてきます。定期的に開催されるソーシャルイベント、最近話題となっているテーマを取り上げたセミナーなど、ネットワークづくりや新しい情報をインプットできる環境が身近にあることも、その理由の一つです。また、仕事の息抜きをするサービスもあるため、リラックスした雰囲気の中で仕事が行えます。

 ビールサーバーを利用することもでき、打合せする方とリラックスしてコミュニケーションをとることが可能です。オフィスは仕事の「オン」の場という概念に捉われず、「オフ」の要素も持ち合わせた環境といえます。

■アセットを持たないことによる働き方の変化

 皆さんの中にも、プライベートで“シェアリング”を活用している人は多いと思います。シェアリングサービスを利用するメリットの一つは、モノ(アセット)に縛られないで、必要な時に必要なものを利用できることです。オフィスというアセットを持たないことで、働く場所、働き方に対する考え方も変わってきます。

 コワーキングスペースを利用したことで、オフィスの拠点が増え、一か所のオフィスに縛られることなく仕事ができます。私共の仕事は、お客様やパートナー先で仕事を行うことが多く、移動の合間に外出先で仕事をすることが少なくありません。現在は、京橋がメインのオフィスですが、他の拠点のオフィスを利用することも可能です。そのため、アポイントの合間でも外部を気にせず集中して仕事ができる、落ち着いた空間で電話会議を行えるなど、仕事する場所を探すストレスから解放されます。(私の出張先には、現時点でまだオフィス拠点が展開されていないのが残念です。)気分転換や新たな刺激を得るために、あえて普段と違う拠点のオフィスに行って仕事をすることもできます。

また、各拠点のミーティングルームも利用できるため、外出が多いお客様やパートナーと効率的にミーティングを行えることもメリットです。自分達だけでなく一緒にビジネスをしている方々とも柔軟なワークスタイルをシェアすることができます。

■働く場所を活用し、成長の拠点にする

 コワーキングスペースを使って感じるのが、オフィスが完成されたものではなく、常に変化を求め、そこで働く人たちが作り上げていく場であるということです。WeWorkでは、利用者の日常の動きをデータ化し、レイアウトや会議室の適正なサイズ、家具や照明の配置など、ワークスペースの改善に努めているそうです。また、WeWorkのスタッフも、利用者皆でオフィスを作り上げようと入居者にメッセージを発信しており、よりコミュニケーションを取りやすく快適に使えるオフィス、そしてコミュニティを作っていくという姿勢を持っています。

 私自身、外出などもあり、まだ多くの時間を新オフィスで過ごせていません。しかし短い時間の中でも、常に変化していく場所に身を置くことで、既成概念を打ち破る発想や、行動力を高める必要性を強く感じています。

 弊社では、今後、コワーキングスペースをお客様やパートナーとのコラボレーション、ビジネス創造の場として活用していきたいと考えています。弊社の新オフィスにお越しいただき、働き方の変化の流れを感じながら、これからのビジネスを一緒に考えて行きたいと思います。

【新オフィス住所】
104-0031 東京都中央区京橋 3-1-1東京スクエアガーデン14階 WeWork 

参考
*1:日経アーキテクチャー 2018年4月12日号

 

ニューチャーの関連書籍

『顧客経験価値を創造する商品開発入門』
『顧客経験価値を創造する商品開発入門』
「モノづくり」から「コトづくり」へ 時代に合わせたヒット商品を生み出し続けるための 組織と開発プロセスの構築方法を7つのコンセプトから詳解する実践書
高橋 透 著(中央経済社出版)
2023年6月29日発行
ISBN-13 : 978-4502462115

 

『デジタル異業種連携戦略』
『デジタル異業種連携戦略』
優れた経営資産を他社と組み合わせ新たな事業を創造する
高橋 透 著(中央経済社出版)
2019年11月13日発行
ISBN-13 : 978-4502318511

 

『技術マーケティング戦略』
『技術マーケティング戦略』
技術力でビジネスモデルを制する革新的手法
高橋 透 著(中央経済社出版)
2016年9月22日発行
ISBN-10: 4502199214

 

『勝ち抜く戦略実践のための競合分析手法』
『勝ち抜く戦略実践のための競合分析手法』
「エコシステム・ビジネスモデル」「バリューチェーン」「製品・サービス」3階層連動の分析により、勝利を導く戦略を編み出す!
高橋 透 著(中央経済社出版)
2015年1月20日発行
ISBN:978-4-502-12521-8