社会課題解決入門「社会課題とはどのようなものか」第2回
ニューチャーネットワークス 代表取締役
高橋 透
社会課題の7つの特性を理解するー1
特性1:課題がどのようなものであるかの定義が困難
社会課題は、その捉え方の視点の持ち方で定義が異なります。例えば、「脱炭素のための太陽光発電の普及」というテーマでの社会課題は、既存の発電業者の視点では、太陽光発電普及にともなう安定電源の確保や送電網の強化が課題となります。太陽光発電システムを設置、利用する側では、その価格と機器間の連携が課題になり、自然環境保護団体にとっては太陽光発電システム設置のための森林の伐採とそれによる土砂災害の防止が課題となります。このように、「脱炭素のための太陽光発電の普及」というテーマにおける社会課題は何か?と聞かれれば、中々難しいと思います。
特性2:課題の範囲特定が難しい
範囲の特定が難しいのも社会課題の特性です。一般的に課題の範囲は、行政管理の組織単位、産業単位、専門知識単位、地域単位、最終受益者の人や組織単位、時間単位などの目で見てわかる物理的な単位で区分することが可能です。しかし社会課題となると、この区分が入り組んでいることや、その課題に対する人の価値観や心理までもが対象となり、広い範囲にすれば、認識することが難しくなり、範囲を特定すれば、課題に漏れがでてしまい、解決に至らない可能性があります。
太陽光発電普及のテーマの例ですと、先に述べた、行政管理の組織単位では、環境省、経済産業省、消費者庁、複数の市町村に渡りますし、産業単位では、電力・エネルギー、部素材、電機設備、土木、環境工学など多様な専門知識単位に渡ります。
課題の定義と同様ですが、課題そのものと環境変化もあり、たとえ仮に範囲を設定したとしても課題の範囲もまた常に流動的なものとなります。