社会課題解決入門「社会課題とはどのようなものか」第1回
ニューチャーネットワークス 代表取締役
高橋 透
社会課題解決は難しい
企業の仕事の中で新事業開発に取り組む際に、社会課題を前提にすることが多くなりました。社内、場合によっては社外の組織とチームをつくり、どのような社会課題があり、またそれが自社のビジネスチャンスにつながるかといったブレーンストーミングやアイデアソンがよく行われています。
しかし社会課題は、議論すればするほどその課題の定義や範囲の特定が難しく、人や組織によって見解が異なります。また、議論に参加する人も、ある専門に偏ると社会課題全体を捉えられず、その一方で参加者を多様化すると、「言葉」の違いや意見の集約にとても苦労します。仮に課題の定義や範囲が明確になったとしても、その社会課題を分析することは簡単ではありません。一つの専門知識では解決できないため、複数の専門知識を集めて解決を試みますが、過去に解決例もなく、解決策はなかなか決まりません。社会課題は範囲が広いため、長期的な計画になりがちですが、計画の検討途中に状況が変化し、社会課題解決の計画そのものが陳腐化し、計画が無駄になることも少なくありません。
経験した方はよくわかるはずですが、社会課題を議論することは大変難しいのです。そこで重要なのは、どのような点が難しいのかを冷静に理解することと、その難しさに合わせた対処方法を選ぶことです。