社会課題解決入門「独自の社会課題を構想できるかが勝負となる」第3回
ニューチャーネットワークス 代表取締役
高橋 透
縦割りの「業界」単位思考の限界
日本のほとんどの産業は成熟市場で、その競争の主軸は基本機能の向上とコストダウン、そしてその実行管理強化です。機能強化、コストダウン、管理強化の3点セットの施策はここ20年変わっていません。その結果、社員のモチベーションが下がり、活力が低下しています。特に製造業では売り上げが伸び悩み、利益も中国やアジアの企業平均と比較してもかなり低いレベルにあります。
こういった「企業活動の限界」の原因の一つがビジネスにおける縦割りの「業界」単位の思考です。インターネットの普及ですでに各産業はネットワークされ、業界の垣根が低くなり、複数産業の異業種連携で新しい産業が生まれています。スタートアップ企業はじめ、それらの新しい企業がビジネスを通じた社会課題解決を目指しています。個別の業界を脱し、社会に目を向ければ課題がたくさん存在し、その社会課題こそが大きなビジネスチャンスだからです。具体的には自然エネルギービジネス、脱炭素関連ビジネス、MaaS(Mobility as a Service)、シェアハウス、シェアオフィスなどのシェアリング、デジタルヘルスなど、近年急成長したビジネスのほとんどは業界を超えた社会課題解決型のビジネスです。