顧客経験価値重視の商品企画開発を実践するトレーニング「組織能力をアップさせる方法」第5回
縦割り組織からネットワーク組織へ
産業革命以降、官僚型で縦方向に強い組織が特に重視されてきました。官僚型の縦割り組織は、命令実行型の組織とも呼ばれ、ゴールややることが明確でそこに短時間で無駄なく到達するには向いた組織です。しかし現代のような、問題や課題の特定が難しく、またその状況も常に変化する複雑系の時代では、官僚型組織は機能しないことが多いはずです。
しかし自動車、エレクトロニクス、化学、金融、エネルギーなど現在の多くの産業、企業は未だ大量生産、大量商品をベースにしていますので、どうしても専門性を重視した縦割り組織になります。そこで多くの企業では、官僚型の縦割りの組織の効率の良さを残しつつ、組織間の連携を図るネットワーク型の組織を取り入れています。皆さんの会社でも複数の部門や事業を巻き込んだ組織横断的プロジェクトが多く実施されていると思います。
顧客経験価値ベースの商品開発は縦割り組織で進めるのは無理があります。ネットワーク型の組織でなければなりません。それも社内だけでなく社外の組織、プロフェッショナルも巻き込んだバーチャル組織が必要です。オンライン会議が当たり前になった今では、社内の会議に社外の組織やプロフェッショナルを招くことは難しいことではありませんし、日常よく行われていることです。これまでも述べてきましたが、商品開発においては、時代の変化を柔軟にキャッチし、独自のアイデアやコンプトにしていくために、多様なバックグランドをもったメンバーを集め、いかに創発的な場を作れるかが勝負です。
インダストリーをベースとした縦割り組織の風土を、柔軟なネットワーク型にするには工夫や努力が必要です。社内外のサークル活動や自主的勉強会、交流会はネットワーク型組織に転換する上で重要な役割を果たしています。
このように現実の組織活動は、既にネットワーク型に移行しており、効果的なネットワーク型組織環境を作れる企業とそこで活躍できる人が勝ち残っていく時代に突入しているといえます。