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「ターゲット顧客とペルソナは何が違うのか?」顧客経験価値のための商品企画開発の実践 第33回

ニューチャーネットワークス 代表取締役
高橋 透

ターゲット顧客とペルソナは何が異なるのか?
ターゲット顧客は、マーケティング戦略上認識すべき顧客属性をもった集合です。顧客属性とは、個人で例をあげると、年齢、性別、家族形態、居住地域、職業、年収、趣味などで、その多くはデータとして把握できるものです。一方ペルソナは、ターゲット顧客の中で典型的な特性を備えた顧客の具体的なイメージで、生活の重点やライフスタイル、それを反映させた生活時間の使い方などです。従ってペルソナはターゲットの一部であって、ターゲット顧客の全てを代表している訳ではありません。マーケティング戦略を立案するとなると、ペルソナだけでなく、ターゲティング顧客も明らかにしなければ、量的目標が立てられず、ビジネスとしてはうまくいきません。質的なものも重要ですが、量的なものもビジネスには重要なのです。

では顧客経験価値重視の商品開発におけるターゲット顧客分析とは、どのようにしておこなうのでしょうか。

①まずペルソナによる顧客経験価値のデザインをします。

②その顧客経験価値で代替可能と考えられる有望市場のリストアップと分析調査を行います。

③有望市場のなかで、自社の顧客経験価値で切り替えられる顧客の属性を分析し、

④その規模、成長性など量的側面をそれぞれの有望市場に対して調査します。

⑤それらを合わせターゲット顧客の属性をまとめ、現在の市場規模、成長性など量的なものとしてまとめます。(複数ターゲットもあり)

具体的に自動車を例にとって説明します。

①ペルソナと顧客経験価値設定

あるペルソナを分析し、顧客経験価値として「週末は都心のマンションから抜け出して、金曜の夜から日曜の夜まで、郊外の自然豊かなリゾート地で生活し、常にフレッシュされたライフスタイルをつくりたい。コロナになって在宅勤務も多くなっているので、平日もワーケションをトライしてみたい」を考えたとします。

②有望市場のリストアップ

上記顧客経験価値で攻略できる有望市場「都心のマンション市場」「オフィス市場」「アウトドアライフ関連市場」「旅行市場」と設定

③有望市場の属性

都心のマンション市場の顧客属性は、「子供なし2人世帯」「共稼ぎ」「世帯年収1000万円以上」「電車30分以内の生活」「マンション平均サイズ60平米」「家賃17万円」(そのほか「オフィス市場」「アウトドアライフ関連市場」「旅行市場」の属性もブレークダウンするがここでは省きます)

④有望市場の推定規模、成長性

上記属性の都心のマンション市場:東京都で30万世帯、年率10%で増加傾向

⑤ターゲット顧客属性と規模、成長性

複数の有望視市場の中のターゲット顧客の共通属性は「子供なし2人世帯または子供1人、独身者」「夫婦の場合共稼ぎ」「世帯年収600万円ー1000万円以上」「電車30分以内の生活」「マンション平均サイズ40-60平米」「家賃12-17万円」「在宅勤務が認められていて、オフィス稼働率が50%以下」「在宅勤務補助が出ている」「年間5回は3日以上の国内外の旅行に出かける」市場規模:東京都で200万世帯以上、成長率年率12%、自動車市場規模約800億円(事例ですので全て架空の数値です)

ターゲット顧客を明確にすることによって、商品開発活動はじめマーケティング活動が効率的に行われます。古典的なマーケティング戦略でよく言うマーケティングミックス(Price:価格、Product:商品、Place:流通、Promotion:宣伝広告)はターゲット顧客に対して、フィット(適合)すべきとよく言われますが、まさにその通りです。ターゲット顧客の最高の顧客経験価値を引き出すために、マーケティングミックスをセットするのです。

ターゲット顧客は、そこだけにビジネスを絞るのではありません。ターゲットは時間の経過とともに顧客経験価値の質を維持し、拡張させながら、広く拡大することを狙うのが一般的です。顧客経験価値の質を維持し、拡張させながら、広く拡大するためには、この最初にタッチするターゲット顧客が大変重要です。なぜなら顧客自身が顧客経験価値を通じて商品のブランド価値(信頼と期待感)を高めてくれるからです。顧客自身が企業にとっては大事な資産なのです。

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