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デジタルB2Bマーケティング 第6回:B2Bビジネスで新文脈をみつけることとは

ニューチャーネットワークス 代表取締役
高橋 透

B2B企業のほとんどは過去から取り組んできた市場の中で生きています。ここ20年間は中国やアジア新興国はじめグローバル市場拡大に伴って価格を下げ事業を拡大してきましたが、シェアは低下しています。シェア、スケールという点では勝てないのが現実です。そこで市場を絞り高品質市場に特化する企業も多く、これも悪くはありませんが、中国や新興国企業も見劣りしない品質のものを提供できるようになってきています。欧州などにトップ企業がいると2番手、3番手となり、後発の中国や新興国企業との間に挟まれ、存続が苦しくなります。日本の製造業は、この狭間の中で、場当たり的に生きている企業が多く、そのため業績がジリジリ悪化し、そこをコストダウンで凌いでいる状況です。ではほかに発想はないのでしょうか?

■既存市場の意味を変える=破壊する

伸び悩んでいるB2Bビジネスの特徴は、B2Bの顧客もまた行き詰っていることです。行き詰っている顧客に「何かニーズありませんか?」「こんな製品・サービスはどうですか?」といってもほとんど答えは返ってこないと思います。なぜなら顧客自体が既存事業の枠の延長戦で、機能や品質アップかコストダウンしか考えていないことが多く、既存事業のガチガチの構造の中で仕事をしているからです。

そういった中で、ごくごく少数の人が、既存の市場の意味を変える=破壊することを考案しています。では「既存市場の意味を変える=破壊」とはどういう意味でしょうか?

たとえば自動車であれば、いま300万円もするものを若い人は買いません。住宅を購入した人なら気に入った部屋にするためにリフォームするかもしれませんし、一回30万円の海外旅行を10回経験する方がよっぽどましと思うでしょう。「既存市場の意味を変える=破壊」とはこのチャンスを狙うのです。

住宅のリフォームをするのでなく、大きめのワゴンを買ってその中に住空間をつくる。そのクルマで海や山の景色の良いところでリモートワークしたりキャンプしたりする。そのためにクルマの内部の電源系統を充実させたりリフォームしやすくしたりする。こうすればクルマは住宅やオフィス、旅行といった新文脈を作り、それによってクルマを利用した生活の意味をガラリと変えることができます。同時にその新ビジネスは、クルマ市場、住宅市場、旅行市場を破壊することになります。

■新たな文脈を創り出す人が欲しい

B2Bで今必要なのは、クルマの例で述べたような新たな文脈を「探す」ではなく、創り出す人です。新たな文脈とは、人や社会に対する新しい意味であり、フィジカルなソリューションを伴ってはいるが、より高次なレベルでの満足感、その多くが生活スタイル、働き方などの文化を変えうるものです。文化とは人の行動や思考、共有などです。

新たな文脈をつくるためには、異なる業界との接点を持ち、最終受益者(主には消費者)の視点から、自らが実験台となり、新たなスタイルを試す人でなければなりません。

 

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