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次の時代のキーワード “起業家スタイル”

ニューチャーネットワークス 代表取締役
高橋 透

 これからの時代に最も重要な“起業家スタイル”

これからの時代で最も重要なことは何かと聞かれれば、迷わず私は起業家マインド、思考、行動であると答えます。ここではそれらを“起業家スタイル”と呼びます。起業家スタイルの重要性は、日本のような成熟した国でも、成長著しい新興国でも同様です。

 では、どれだけの人が起業家スタイルを持っているか?となると、日本に限らず相当少ないように感じます。起業家スタイルとは何か?簡単に言えば、顧客や社会にとって新しい独自の価値あるものやサービスを考え、提供することです。過去の考え、方法をフォローする人は、起業家スタイルを持っているとは言えません。単に自分にとって初めてのことを行うことは、起業家スタイルではありません。重要なのは、誰かのやっていることではなく、「新しい独自の価値」です。自分の中で「起業家スタイル」を探してみてください。「新しい独自の価値」は単なる可能性ではなく、革新的な文書や作品、組織、製品、プログラムになっていなければいけません。

 

起業家スタイルはだれに必要か?

起業家スタイルは、独立して会社を設立しようと考えている人に限らず、一般の企業または政府、行政などの公的組織、さらにはNPOのような社会貢献を目的とする組織でも同様に最も重要なことであると考えます。また、組織のどの役割や立場にも必要なことだと思います。新入社員でも、定年退職間際の方でも、だれにでも必要なものです。

起業家スタイルはなぜ誰にでも必要なのでしょうか?それは、人はみな独自の価値を持っているからです。独自の価値とは、人や社会、自然に対し貢献することです。事の大小は問われません。起業家スタイルが必要だというより、もともと持っている起業家スタイルを自然に表現することが、人生においても大事です。

しかし、起業家スタイルは、会社や組織の環境、機械的な仕事、自分自身の思い込み、権威主義、お金と名誉などの多くのノイズでかき消されていることが多いと思います。

 

起業家スタイルとは何か?

 では起業家スタイルとはどのようなものなのでしょうか?いくつかの特徴をあげたいと思います。

①おかれた厳しい環境、みじめでつらい状況であっても、それをバネに逆転の発想のアイデアを出せること

②時間、お金などのリソースが十分ない中で、なんとしてでも結果を出すという覚悟ができていて、具体的な目標を定めて常にそれを意識していること

③ゲーム感覚をもって厳しい状況を楽しめること。楽観主義であること

④貢献の対象に対して一貫した愛情と情熱を持ち、その問題・課題に対し独自の解決アイデアを、寝ても覚めても常に考え続けていること

革新的なアイデアを行動に移し、成功するまで試行錯誤をいとわないこと。一般の常識を超えた行動力で成果を出すこと

⑥分野は異なっても同じ志を持つ仲間を募り、多くの人、組織を巻き込み、ネットワークし、価値を共有すること

⑦一度成功してもそれにとどまらず、さらに多くの革新的な挑戦をすること

 

なぜ今改めて“起業家スタイル”なのか?

 なぜ今改めて“起業家スタイル”なのか?その答えの一つに、インターネットの普及を挙げます。今ICT(情報通信技術)の世界では、IoT(Internet of Things)が話題になっています。PC、スマートフォン以外のすべてのモノの情報を、インターネットに繋ぐことを目指したムーブメントです。IoTの時代、つまりすべてのモノがネット化された社会では、先行きの変化がますます読み難くなります。どんな人や組織でも、良い状況は長続きしません。そこで、どんな状況になっても発想し続け、行動する起業家スタイルでの“環境適応力”が大変重要になります。

またインターネットは、独自の価値を生み出し、それを世界に広めてくれる可能性もあります。ネットワークの時代だからこそ独自で希少なものは、いかなる壁も越え、世界に広がります。その一方で、単なる他人の模倣は厳しい評価にさらされ、価値が認められません。独自の価値が広く伝搬される可能性と同時に、それが発揮できない場合、あっという間に厳しい状況に追いやられます。

 次に、仕事に対する価値観の変化が挙げられます。仕事は単なる生活の安定のためではなく、自分自身の生きる価値そのものであることへの、人々の気づきです。人生の大部分を占める仕事は、経済的な手段だけなく、自分自身の独自の価値の達成の場と考えられるようになりました。しかし、前にも挙げた通り、ネット時代では独自の価値の競争の現実は生易しくありません。独自の価値が出せなければ、経済的にも厳しい状況になるかもしれません。

 3つ目は、成果を出すことの重要性です。「私は大きな組織の一員だから、一部の保守業務だから、それなりに仕事をしていればよい」という言い訳が効かない時代です。すべての業務で、それぞれの状況で成果が求められます。しかしその成果追求も、やらされ感や受け身になったら終わりです。たとえ本意でない仕事であっても、自分なりに解釈を変え、意味づけをし、自分独自の成果の実績になるように、あらゆる工夫と努力が必要です。日常の一見つまらない仕事であっても、革新的な発想を吹き込み、際立った成果を出す習慣が求められています。それは起業家スタイルそのものです。

 

起業家スタイルを身につけるには

 最後に、起業家スタイルを身に着けるための考え方、意識、行動に関して述べます。

 1つ目は、“物事から逃げてはいけない”ということです。ネット時代もあってか、選択肢が多くなり、独自性を追求しにくくなっている様に思えます。一般社員であれば、難しかったら過去成功した方法で、仕事が嫌なら転職で、嫌いな人とは連絡せずに・・・と選択肢が多くなり、強制されることが少なくなっています。経営者、幹部職でも、社員教育よりもヘッドハンティングで、自発的な改革、改善でなく、リストラや恐怖政治で、独自成長よりも買収でと、経営を単純化しすぎている様に思えます。何が適切かは状況によって異なりますが、選択肢の多さが、かえって困難を乗り越えようとする人や組織の起業家スタイル発揮の可能性を阻害しているよう思えます。起業家スタイルを身に着けるうえで、問題や課題を真正面に捉え、物事から逃げないで考え、行動することは大変大事です。

 2つ目は、苦しい状況の中でアイデアを発想し、その状況を切り抜ける訓練です。平時の時は、だれでもアイデアを出せます。しかし究極の状況で、革新的なアイデアを発想し、それを実行に移すことは簡単ではありません。そのためには、まず先に挙げたように苦境に直面したらそこから逃げず、真正面から捉え、状況の本質を読み、革新的アイデアを発想し、試すのです。起業家の創造性とは、そのようなリアルに厳しい状況訓練で育成されます。

 3つ目は、1つ目、2つ目とも関連しますが、成果に厳しくなることです。分野を問わず、本当の起業家は、成果目標への執着心が別格に高いことが共通しています。反対に目標達成に対し鈍感な組織では、あらゆる言い訳が許され、エッジの効いたアイデア発想の芽を摘んでいます。一度掲げた目標は、あの手この手で達成する組織文化、習慣が大事です。また、そのような目標に対する厳しい態度が革新的なアイデアと行動を生み出します。

 

起業家スタイルを語るとごく当たり前なことに終わってしまった感がありますが、人は易きにつきやすく、当たり前のことを実行することこそ難しいのだと思います。起業家スタイルとは“生き延びようとする本能的な力”のようなものだと言えます。

 

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