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「第五の競争軸」(1)

株式会社イースクエア 代表取締役社長
ピーター D. ピーダーセン
日本企業は国際競争力を低下させ、未来に対して悲観的なものの見方が増えてきています。しかし、ピーダーゼン氏のおっしゃる環境・社会のグローバル・トレンドを的確にとらえれば、日本企業にとっても大きな成長の機会になりうる可能性があります。

今回から計2回にわたり、ピーダーゼン氏のコラムをご紹介します。
是非読者の皆様には自社のビジネスチャンスを発想しながら、読んでいただければと思います。

ニューチャーネットワークス 福島 彰一郎

■地殻変動を起こす事業環境

「地殻変動」はもはや使い古された言葉のようにも思える。しかし、「環境」および「持続可能な発展」をキーワードに、営利企業の事業環境は今、まさに、「地殻変動」とでもいうべき大きな変化の真っただ中にある。
 20世紀後半、地球環境問題が顕在化し、世界各地域の社会発展の格差が鮮明になったことにより、このままでは「持続性ある地球社会の発展」は危ういという認識が次第に強まっていった。1987年に、国連のブルントラント委員会(正式名: 環境と開発に関する世界委員会)は、Our Common Future (我ら共有の未来)と題する報告書を発行し、「持続可能な発展」という概念を初めて、大々的に世界に向けて打ち出した。そして、その報告書の発行を受け、1992年に、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで、「地球サミット」(リオ・サミット)が行われ、環境の保全と健全な社会発展の達成方法に関する国家首脳レベルでの真剣な議論が行われた。
 今年の12月に、私の母国デンマークの首都コペンハーゲンで行われる気候変動条約に関する国連会議COP15と、来年、日本の名古屋で開催される生物多様性条約のCOP10は、どちらも1992年の地球サミットに端を発するものである。
 企業からみると、このような時代の大きな潮流は、新しい「社会制約」と「環境制約」の台頭として具現化するようになり、1990年代に次第に経営に影響を与え始めた。下の図1をみていただきたい。企業は図の左側にあり、右方へと進む存在だと捉えていただきたい。
 上の「壁」は「社会制約の進化」を表している。つまり、(1) 条約や法規制の変化(たとえば「京都議定書」や「家電リサイクル法」など)、(2) 企業のCSR・環境経営への新たな要求(たとえば、「ISO14001」や国連が提唱する「グローバル・コンパクト」)、(3)NPOをはじめとした市民社会の新たな要求や期待(たとえば、グリーンピースが一時期、有害物質の代替を促すためにインターネットで展開していた”The Chemical Home”という、家電メーカーなどを対象とした抗議ウェブサイトなど)。
 下の「壁」は「環境制約の進化」を表している。直接的に企業経営に影響与えるものを挙げると、たとえば(1)資源やエネルギーの需給のひっぱくによるコスト増や調達難、(2)気候変動による異常気象に伴うオペレーションへのダメージと損失額の増大など、多数である。

 

図1:変化する社会制約と環境制約

 

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