社会課題解決入門「独自の社会課題を構想できるかが勝負となる」第2回
ニューチャーネットワークス 代表取締役
高橋 透
社会課題拡大による企業活動の低迷、停止の可能性
政府は政策の中で少子高齢化対策を最優先に挙げていますが、日本の出生数は1990年代から110万人台となり、2016年からは100万人を割り込みました。出生率は1.3から1.4台を前後していますが、出生数が低下してきていますので、若年人口は減少し続けています。どこの業界や企業でも採用が難しい、採用できないという声を聞きますが、採用する人が少ないばかりでなく、地域によっては不在なのです。少子高齢化による生産人口の減少は、いまや社会課題です。その社会課題によって企業活動が低迷し、場合によっては活動そのものの停止が余儀なくされているのです。
社会課題の拡大による企業活動の抑制、停止は、生産人口の減少だけでなく、地球温暖化による気候変動を原因とする風水害の増加や、経済格差の拡大による犯罪の増加、また、過度の情報化による精神疾患の増加や運動不足と飽食による生活習慣病の増加といったことでのプレゼンティーズム(出社していても何らかの健康問題によって業務効率が落ちている状況)による生産性の低下などによっても引き起こされています。今や社会課題の拡大は企業活動そのものにとっても死活問題となっています。