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“とにかく面白い” WeWorkで約3ヶ月過ごしてみた感想

ニューチャーネットワークス 代表取締役
高橋 透

 ニューチャーネットワークスと新会社ソビーが京橋東京スクエアガーデンのWeWorkに入居して約3ヶ月経過しました。これまでの感想をひとことで言うと、「とにかく毎日が面白い」です。なにが面白いかと言いますと、

①   入居者の業種業態が様々で、その仕事ぶりをちらっと見るだけで、なんか刺激的

 京橋のWeWorkは、飲料メーカー、自動車メーカー、エネルギー会社などの大企業と、仮想通貨会社、ネット証券、テックベンチャー、バイオベンチャーなどの新興スタートアップ企業、個人でスタートアップの準備をしている人など、実に様々な業種、業態の企業が入居しており、仕事のリズムや人材のタイプなど全く異なり、それが実に刺激的です。この東京スクエアガーデンの14F自体が小さな社会になっているような気がします。

②   働く人の平均年齢が若く、元気、ファッションも自由で個性的

 私のようなおじさんは、少数派です。平均年齢は30歳を切るのではと思います。単に若いだけでなく、仕事も良くするし、元気です。服装も自由で、個性的。入居者で大きな会社の人が「●●さん、日に日にファッションが自由になっていいですね~」「えっ、そうですか・・・?!」といった会話も聞こえてくる。自由な雰囲気で縛られないのが、若い人を元気にするのかも知れません。ウチの女子社員に聞くと「WeWorkはイケメンが多い」のだそうです。

③   他の会社の人とゆるい繋がりができる

 各拠点のWeWorkのコミュニティチームが入居している企業同士のネットワークをつくる仕掛けを企画し実行してくれます。先日も、お菓子とジュースを用意した名刺交換会が行われ、私も短時間ですが参加しました。他の場所のWeWorkの入居者もたくさん参加されていました。月曜午前にはおにぎりや、寿司、クロワッサン、フルーツなどの朝食が出たり、3時頃にはおやつが出たりします。そういったものを囲みながら入居者同士が繋がっていきます。

 一度話すと、次に顔を合わせたときに挨拶したり世間話をしたりする。これが気分転換に実に良いのです。同じ会社だとどうしても仕事の話になりがち。私達のオフィスに遊びに来てくれる人もいる。仕事の相談に乗ってもらったり、お金をはらって仕事を頼んだりすることもあります。

④   昼からビールがタダで飲める

 WeWorkは昼からビールがタダで飲めます。タダって言ってもメンバーシップ料金に含まれているのでしょうが、お金を気にせず飲めるのです。さすがに昼から飲んでいる人はあまりいませんが、3時過ぎると飲んでいる人もいます。「飲みたいなら飲む」という自由が良いのでしょう。私も4時半ぐらいからだったらお客さんと一杯やることもあります。会社で仕事していて6時ぐらいから居室で一杯やって帰ることもあります。ですからオフィスにはおつまみを常備しています。外の居酒屋でガッツリやるのもたまにはいいのですが、「軽く済ませる」のもいいです。

⑤   オープンスペースが常に明るく活気がある

受付のあるオープンスペースには、ゲーム機があったり、そこに面した会議室で卓球が出来たりします。実際少しの時間だけでも遊んでみると結構気分が変わり、良い発想が出ます。また、つねにアップテンポのBGMがほどよい音量で流れ、PCでメールをチェックする人、打ち合わせする人、遅いランチを食べる人など様々ですが、各人がそれぞれの目的に集中しており、全体として成り立っている不思議な空間です。

■WeWorkから現代の「働き方の改革」の本質は何か?を考えさせられる

 多くの企業や組織で取り組んでいる働きから改革。それはそれで必要ですし、進めるべきですが、何か腑に落ちないところがある様な気がします。それはワークそのもののあり方が既に変わってきているのに、それに組織がついていけず、何かを置き去りにしているからだと思います。置き去りにしているもの、それは大きく3つあると思います。

 一つ目は、業界、企業、その中の部門、課、担当と縦割り組織を細分化している業務のやり方だと思います。一つの仕事が小さな部分になりすぎて、全体を理解することが難しい。どうしても行き詰まりを感じざるを得ないぐらい細分化されてしまっています。働き方の改革ではなく、仕事そのものの改革、見直しが必要です。

 二つ目は、チャレンジが全くないことです。若い人がどうやって成長するのか?50歳以上の人の半分ぐらいは知っているはずです。組織自体が無謀と言われるようなチャレンジをすることで、その中で若者は育ちます。バブル経済を経験している人は解っているはずです。しかしその人達も管理職になってまでチャレンジする人は希ですから、若い人にとって組織での仕事は面白くないのです。これは私達の世代の問題です。

 3つ目は、個人中心で仕事させないことです。「全体最適」という言葉を使う経営トップがいますが、これだけ個人が才能を発揮しやすい環境にあって、個性や能力にフォーカスせずに「全体最適」と言って何か見えない縛りをかけてくる経営トップは、経営をリードするどころかビジネスパーソンとして既に終わっていると思います。働き方改革の前に、新卒一括採用、定年制など、もっと重要な人事制度改革をして個人を重視してほしいものです。

■WeWorkは不動産ビジネスモデルの破壊と創造だ

 ソフトバンクグループは、米国WeWorkとWeWork Japanに合計で1.4兆円もの資金を投資しています。WeWork Japanは米国WeWorkとソフトバンクの合弁企業です。ソフトバンクのWeWorkの戦略を、ソフトバンクの担当の方にインタビューしてみました。

 そこから解ったのは、ソフトバンクグループ、つまり孫会長は、不動産ビジネスをITで破壊し、新たなサービスを創造しようとしていることでした。携帯電話事業で集まったビックデータを解析して人流を分析し、ターゲットとなるオフィスの立地を計画する、入居者のデータを集め、より付加価値の高いサービスを提供し囲い込む、などです。実際WeWorkで仕事をしてみると、スペース当たりの賃料よりもサービスに目が行きます。そのサービスとは、会議室の利用、ネット環境、テナントとのネットワークと実際そこから生み出されるアイデアや仕事、移転や社員の増減への柔軟な対応、無駄な時間とコストの削減などです。

 ユーザーの視点から観ると、一般のスペース貸しの不動産業は、WeWorkのような業態に破壊されていくと思います。一般の不動産業のほとんどは、基本的に契約の時にしか接点がないのと比較し、WeWorkのようなところは、常にテナントの満足度や体験に注意を払い、入居者同士を結びつけたり、入居者が興味のありそうなイベントを入居者と相談しながら実施したり、常にサービスが進化しているのです。実際WeWork Japanは2020年に、拠点を100箇所にすると宣言していますが、これはIT業界から不動産業界への破壊的参入だと思います。

 WeWorkのような職場が絶対だとは思いません。開発部隊はもっと静かな居室が良いと思いますし、銀行や電力などの規制産業は、行政との関係から紙での保管を義務づけられていて、WeWorkのような場所は対応出来ません。また賃料も実際安くないので、スタートアップしたばかりの会社が入居するのは難しいと思います。しかし、組織や仕事の文化や、その場を提供する不動産ビジネスがこのままで良いはずはありません。そこへWeWorkをいう米国発のスタートアップ企業が問題提起し、提案し、それをもの凄い勢いで進化させていることは素晴らしいと思います。

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