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「PoCは検証結果だけでなく、新たな顧客経験価値が生成される過程を表現する」顧客経験価値のための商品企画開発の実践 第46回

ニューチャーネットワークス 代表取締役
高橋 透

事業構想書での仮説検証のひとつはマーケティングリサーチで、もう一つはPoC(Proof of Concept)です。マーケティングリサーチは、いわばマクロの視点で、顧客経験価値、商品コンセプト、ビジネスモデルを検証し、その可能性を探ります。PoCはミクロの視点で、顧客経験価値、商品コンセプト、ビジネスモデルを検証します。検証のためにKPIを設定し、その上でPoCを実施し、その結果を報告します。PoCの結果から、新たな顧客経験価値、商品コンセプト、ビジネスモデルを構想し、その修正案を検証するPoCを何回か実施します。またPoC実施の過程で見つかった様々な効果的な気づきやアイデアを修正案に加えていきます。

さらにマーケティングリサーチからのフィードバックも受けて、最終的な顧客経験価値、商品コンセプト、ビジネスモデルの戦略を企画します。仮説検証パートの大事なことは、マーケティングリサーチとPoCにより仮説が客観的に検証され、素早く修正案を企画し、検証を繰り返し、効果的な戦略を見いだすことです。

論理思考だけで考えた戦略コンセプトは他社も努力すれば実施可能かも知れません。各種デザインシンキングで考えた戦略コンセプトは、独自性はありますが、市場受容性があるか否か、厳しい検証が必要です。そして検証の結果から新たな仮説を発想し、何度か検証することが競争上とても重要です。そのような努力から、ロジカンルシンキングの「理論解」だけではなく行動することで新たな発見と発想を繰り返す戦略である「行動解」が差別化になると思います。なぜなら競合がその戦略コンセプトをどのようにして生み出したか解りにくく、模倣が難しいからです。

また顧客経験価値は、その特性上、提供者側の働きかけによって変化していきます。決まった答えがあるのではなく、相互関係の中で、理想の顧客経験価値が生成されますから、PoCによる検証結果とそこから見いだされる戦略コンセプトは、顧客との相互関係を通じて見いだされたものになります。つまりPoCは検証結果だけでなく、試行錯誤による新たな顧客経験価値が生成される過程を事業構想書の中で表現します。

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