気分や雰囲気を変えることが大事
新製品・サービス、スタートアップ、研究開発企画、何かの新企画・・・。何か新しいことをやることは大変良いのですが、初期の構想段階で新しい価値を企画できていないことが意外に多いように思えます。具体的には「その新製品・サービスの価値は、従来の製品やサービスよりも2倍以上の価値があるか」といったことを説明できるかが大事だと思います。なぜなら20%価値アップだと、お客様はその価値アップを感知しない可能性が高いからです。しかかし価値2倍だとお客様もはっきり理解します。最初の価値の構想仮説のレベルが低いとそれを検証してもほとんど意味がありません。“新”とつくものの価値の設計構想を、インパクトあるもの、極端かもしれませんが従来のものと取り換えるくらい「破壊的なもの」にしなければなりません。
“新”を追求するプロジェクトのそもそもの失敗は、初期の価値の構想段階に問題があると思います。シェアサービスやサブスクリプションなど近年身の周りで急速に成長したビジネスは、発想や企画の初期の段階で破壊的価値を構想し、スピーディーに実践してきたのだと思います。
■破壊的価値の構想を邪魔するもの
この初期の段階で破壊的価値の企画に失敗する原因は、組織的な環境にあると思います。実際に経営トップや幹部が「新しいことに挑戦し、新事業を考えてほしい」と言いながら、現実にはその可能性を邪魔する発想、発言が多いように思えます。具体的には次のようなものです。
①「それは過去やってみたけど失敗した」「常識から考え難しい」といった「過去の常識」を判断基準にするもの
よく考えるとこのロジックは間違いですよね。常識を壊すから破壊的価値、新価値です。常識をいかに壊すかが狙いなのに、判断する段階で常識を持ち込むことは矛盾しています。
②「その企画は市場調査の裏付けがあるのか?」「市場規模はどのぐらいか?」といった過去のデータでの検証を求めるもの
たしかに代替する市場がなくてはビズネスにならないと思いますが、すでに市場があるのかどうかを問うのはミスリードする可能性があります。調査会社などですでに市場が調査されているのであれば、その市場は価格競争になっている可能性が高いからです。
③「うちでやるのは難しいな・・・」「うちではそんなことできない・・・」
これも矛盾した発言です。なぜなら新しく何かにチャレンジするということは、今できないことであるはずだからです。どうやったらできるかを考え、行動するから成長するのです。
■個人の破壊的価値の構想のノイズ
個人にも破壊的価値の構想のノイズはあります。
「会社の仕事なのに自分の好きなことを提案していいのかな?」
「考えたけど、忙しいから時間がない」
「こんな提案したら周りから変な目で見られる」
「今の上司の理解がないので無理だ」
などです。
誰しもそういった気持ちになると思います。これは人の防衛本能であり、ある種正常な面もあると思います。
しかし、会社、組織、そして個人が危機的な状況、または莫大な機会が出現する状況で、このような発想は、かえってリスクが高いことだと思います。
■ではどうするか?「気分や雰囲気を変えよう」
こういった思考、行動、意識の習慣いわゆる風土をかえるのは難しい、時間がかかるとよく言われますが、私はそう思いませんし、思わないようにしています。簡単にシンプルに考えます。「それは気分や雰囲気の問題だ」と。
「気分や雰囲気を変える」とは、
- 普段の仕事を議論する物理的な「場」を変えること
- 場を運営するファシリテーションを変えること
- 言語や理論だけに依存しない「写真」「現物」「映像」など、知覚、感情に訴えかける題材を使うこと(デザイン思考、ユーザーエクスペリエンス思考)
- 個人の主観を積極的に認め、引き出すこと
- とにかく自分自身を開放し、自由にすること
これらは実に簡単なことです。少し勇気があって、普段と場を区切ればワンショットであれば簡単にできることです。こういったことを積み重ねていけば、組織の上位者もまわりも変わっていくと思います。本音ではみな変わりたいのです。
■まず自分自身も「気分や雰囲気を変えよう」
仕事に追われてると誰しもついつい「できない」思考になるものです。責任感のあるしっかりした人は特にそうです。ですから個人でも気分や雰囲気をうまく切り替える小さな努力が必要です。
「休憩時間は少し近所を散歩してみようか」「働き方改革で時間があるなら映画でも見てみようか」「勉強会に参加してみようか」「副業を夢見てみようか」「デザインの専門学校をのぞいてみようか」「タウンウォッチングしてみようか」など。
おそらく様々なものがポジティブに見えてくるのではと思います。個人でも「気分や雰囲気の切り替え力」は大事だと思います。