人は皆なんか疲れている
■会社の人は皆なんか疲れている
コンサルティングで新製品・新事業開発のサポートの仕事をする際にまず行うのが、疲れた人を助けることです。疲れた人とは、会社で新製品・新事業開発を担当する人。それからその新製品・新事業開発の対象の顧客です。B2Bであれば企業、B2Cであれば消費者です。皆なんか疲れているのです。
疲れているとはどういうことかというと、スマホにひっきりなしに入ってくる情報やルールでがんじがらめの仕事、仕事や生活の、本当はどうでもいいことの処理、建前だけをせまってくる上司の対応などに、無駄に頭を使ってしまうことです。これは顧客や消費者も同じです。デジタル化されて疲れる話は20年前の100倍ぐらいの量になった気がします。
■休日の様なリラックスした気持ちになれないものか
そういった中で新製品・新事業開発を行うためには、まず会社の人が、良い景色を眺め、胸いっぱいの良い空気を吸い、休日の様なリラックスした気持ちになってもらい、すこしぼーっとしてもらいます。実際はそんなことは温泉合宿でもしない限り難しいのですが、 「今日は少しふざけてもいい」とか、「高橋さんなら昼休みにWeWorkのビール飲んでも叱られない」といったムードをつくらないと仕事にならないのです。(注:弊社が2019年1月から入居したシェアオフィスは昼からビールが自由に飲める)
というのも、新製品・新事業開発の対象の企業顧客や消費者も同じように疲れているのです。疲れている人に、切羽詰まった意識で、自社の技術を無理矢理使った機能てんこ盛りの「うるさい製品」を提供しても嫌われるか、ロジックで徹底的に細かく突っ込まれ、最後は値引きで終わるのが落ちです。
つまり今の時代の最大の欲求とは「誰かに癒やされたい」「疲れない話を持ってきて」「気持が軽くなる話、なんかない?!」なのです。だから新製品・新事業開発の議論をするときは、出来るだけいつもの会社の雰囲気とは違った感じを出すように努力します。努力といっても私自身疲れてはいけません。
■感覚、感情で発想することで良い仕事ができる
疲れない話は、議論ではなく、気軽な対話でなければいけませんが、その対話も、感覚(Sense)感情(Feel)の範囲であるべきです。「○○って気持ちいいよね」「□□は前からほしかったんだ」「△△はウチの娘に買ってやりたい」とかです。
最近、新製品・新事業開発開発のワークショップで、「ちょっとした休日の様なリラックスした気持ち」になっていただくことで、大きな成果がみられるようになりました。私が企画をリードしているわけではありません。私はテーマ設定と休日リラックスムードをつくるだけです。もし対話が止まったら、私が私自身の感覚(Sense)感情(Feel)で話しに加わります。そして場を盛り上げます。
日頃、職場での仕事が建前や変なルールだらけで、自分自信の本音、感覚や感情に蓋をしたまま、顧客や消費者からほど遠いところで無理をしていることが解ります。解放された時のエネルギーがもの凄い勢いです。
■うるさい社会に負けず自分自身の内面の声を聴く!
ビックデータ解析、AI、IoTなどと、ますます世の中がうるさくなっています。技術や文明は進歩しますが、人間は中々進歩しません。いいところまで行った人でもいずれは老人になり、そして死んでいきます。そして誰かまた生まれてきてゼロから始めます。意外にも変わらないのは人なのです。その人にもっと注目すること、つまり自分自身の内面の声を聴くことが顧客、消費者、社会に受け入れられる新製品・新事業開発ができるのではないかと思います。
さあ、会社で活躍したいなら、どうやってうまく仕事をさぼるかです。いつでもお付き合いします。
写真は「英国のOFF: 上手な人生の休み方」入江敦彦著(とんぼの本 新潮社)より