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「IoT」で築く~新しい健康社会を目指して~

ニューチャーネットワークス コンサルタント
会田 勝代

 これまで何度かご紹介させていただきましたヘルスケアIoTコンソーシアムが、9月9日に立ち上がりました。キックオフ総会では会長の東京大学・山本教授や産業技術総合研究所の西田先生をはじめ、多くの研究者、行政、企業の方にお集まりいただきました。「AI」や「IoT」ブームということもあって、40以上の媒体にも取り上げて頂き、総会員数も38会員(10月7日時点)となりました。9月20日に開催した第1回全体会では、医師、弁護士、メーカー研究者、大学研究者、IT企業技術者、マーケター、ベンチャー起業家、コンサルタントなど多様な専門、業種の方々にお集まりいただき、「未来の健康価値とは何か?その課題は?」というテーマで議論致しました。今回のコラムでは、ヘルスケアIoTコンソーシアムのキックオフ総会及び第1回全体会の様子をお伝えしたいと思います。

■キックオフ総会

 キックオフ総会では、産業技術総合研究所(以下産総研)の西田佳史先生に「日常生活インフォマティクス〜サテライトリビングラボを用いた日常行動データ分析と活用〜」というテーマで基調講演いただき、会長の山本先生及び理事会の方々からビジネス、健康情報学、医学、ICT、法律の各面について最新動向をご講演いただきました。最後に、専門委員の北海道大学・長谷山先生、大阪大学・野村先生、そしてビジネスモデル、ヒューマンインターフェイス、IoTプラットフォーム、法制度・標準化の4つの部会の座長の方々に加わって頂き、「ヘルスケアIoTコンソーシアムで検討すべき課題と期待」というテーマでパネルディスカッションを行いました。

① リアルワールドのビッグデータ解析で介入効果を見る

  西田先生の基調講演では、産総研内に様々なセンサを実装し、実生活に近い環境を実現したサテライトリビングラボのご紹介や、日常の行動の中で起こるインシデントを解析する為に「実世界」での検証を、介護施設や在宅介護、保育園、リハビリ病院等の現場でもセンサを実装して実施している研究についてお話頂きました。とくに、こどもや高齢者は「生活の機能変化」=心身機能や認知機能が変わることによって問題が起こることが多いということで、IoTの活用によって問題を回避する製品開発や取り組みをご紹介頂きました。例えば、幼児がはみがきを持ったまま転倒して怪我をする事故を防ぐ為に、転倒しても刺さらないよう曲がる歯ブラシを開発した事例や、センサ付きシューズによる高齢者の徘徊の解析、歩行速度を基にした高齢者の要介護リスク予測など、IoT活用による課題抽出及びビッグデータ解析による事故等の予防事例を多数ご紹介頂きました。企業との連携も募集中とのことで、コンソーシアムとしても継続して連携させて頂きたいと思います。

②健康情報を人の行動変容に繋げる

 会長の山本先生からは、センサデータを活用して行われている行動変容の研究内容や、海外の動向も含めた健康情報学についてご講演をいただきました。行動データにより精神疾患患者の状態変化がわかるようになってきたという研究や、生体データや行動データの解析より、変移点(健康から疾病を抱える状態になるきっかけとなるポイント)がわかるようになってきていることなど、今後の展望をお聞きすることも出来ました。「“データ・ドリブンになる”“システム化する”“個別的でJust-in-Timeになる“ということを中心に、ヘルスケアIoTは変わっていく。それ以上に、倫理的、法的、社会的な基盤づくりというものが成功へのカギとなり、今後、本コンソーシアムで構想しているような信頼性の高いデータの取得及び流通の仕組みや、個人が正確で標準的なデータをクラウドに上げたくなるような仕組みを作るように、このヘルスケアIoTコンソーシアムがヘルスケアビッグデータを介して価値を創出する主役になるよう期待をしている」とのメッセージを頂戴しました。

 また終了後には名刺交換会を開催し、会員皆様と活発な意見交換をさせて頂きました。

山本会長による講演

山本会長による講演

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

■第1回全体会

 キックオフ総会開催後の9月20日には、会員参加型のイベントとして第1回全体会を六本木ヒルズにあるTMI総合法律事務所の会議室をお借りし、開催いたしました。「ソーシャルデザイン手法でヘルスケアIoTの全体像やありたい姿を描く」をテーマに5つのグループに分かれ、“バックキャスト”および“デザイン思考”でディスカッションをして頂きました。

 1つ目の議題の「ヘルスケアIoTで飛躍的に向上する個人の健康価値とは」では、主に以下3つの点が重要となるのではないかとの議論がされました。

  • 心と体の状態が生活している中で無意識にモニタリングされ、必要に応じてフィードバックを受ける
  • 個人の個性、生活特性に合わせた行動変容をコーチングしてくれる
  • 上記のことが“個人の自己実現”そのものになっている状態である

 また2つ目の議題「個人の健康価値実現のエコシステム・ビジネスモデル」では、下記のような戦略条件が必要ではないかとの意見が出ました。

  • 楽しみながらできること、ゲーミフィケーション
  • データセキュリティの上でのデータ社会的活用
  • データ測定は無意識で、自己実現のみを意識的にする
  • 多様な業種、組織の関係性

 上記が個人それぞれの自己実現、すなわち“パーソン・ドリブン・ヘルスケア”であり、仕事、専門、趣味、家族、社会との活き活きした関わりをもつことで、この社会が実現できるのではないでしょうか。

 各グループで異なる業種・専門分野の方々と一緒にテーブルを囲み、意見交換及びディスカッションをして頂きましたが、どのグループも議論が大変盛り上がり、時間が足りないほどでした。また各班の発表も様々で、終了後には「こんな考え方をするのか」「こんな捉え方があるのか」など、業種・専門の違う方との議論より刺激を受けたとの感想も頂きました。

第一回全体会の様子

第一回全体会の様子

 次回の第2回全体会(10月12日開催)では、「実現するための課題」についてグループディスカッションを行います。その議論内容は各部会に引き継がれ、取り組むべき課題、実施内容に関して議論を進めていきます。また、定期的に事務局主催の勉強会を開催することで、関連する最新動向に関して会員の皆様と一緒に視野を広げていきたいと思います。最初の勉強会は、10月18日と11月2日の2回に渡って「パーソナルデータの利活用、データ流通」をテーマに、ゲストスピーカーをお招きして開催する予定です。(いずれも会員限定イベントとなります)

 IoTを用いた研究により、個人の健康状態の変化やケガ、事故のきっかけが掴めるようになってきています。このような研究成果をサービス化すること、データ取得をもっと無意識的に出来るようにし、個人がデータを利用したくなるようなサービスを提供することなど様々な可能性が見えています。システム実装には、標準化、共通化、法制度面だけでなく、社会受容性をしっかりと検討する必要もあります。コンソーシアムの会合を通じて「パーソン・ドリブン・ヘルスケア社会」実現に向け、必要な要素や課題を抽出し、業界横断で検討を進めていきたいと思います。また、ヘルスケアIoTに関わる情報を集めて発信することにも取り組んでいきたいと思いますので、IoTを活用し新しい健康社会を作りたいという方は、是非コンソーシアムへのご参加をご検討頂ければと思います。

<ヘルスケアIoTコンソーシアム>
 URL:https://healthcareiotcons.com/
 現在の会員リストは、ホームページ内入会案内ページの会員一覧よりご確認頂けます。

<次回イベント>
第1回勉強会
 日時:10月18日18:00-19:00
 場所:東京大学 本郷キャンパス
 講師:株式会社インテージ 伊藤直之様
URL:https://healthcareiotcons.com/event-seminar001/
※ このイベントは会員限定となります

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