第5回 ブレークスループロジェクトとは 人が集まり、互いが成長する組織 ~人・組織への投資と、学習・成長の仕掛けによる戦略~
前回まで、「人が集まり互いが成長する組織」の概念や、今そうした組織が求められている背景について大まかにお伝えしてきました。幸運にも弊社は、その「人が集まり互いが成長する組織」づくりを20年近く、「ブレークスループロジェクト」というプロブラムを通じて実践する機会に恵まれています。
個人から大組織まで適用できるブレークスループロジェクト
ブレークスループロジェクトは、次の5点で説明できます。
- やれば手が届きそうな短期のゴール(最長90日、最短1時間)を設定する
- 自分と仲間が本音でやりたい、やらねばと思うテーマを設定する
- どんな失敗も許される環境(心理的安全性)をつくり、すべては学習・成長と認識する
- 常に自分自身とまわりにポジティブなフィードバックを行なう
- 「いまここ」の瞬間に集中して取り組み、小さな達成感を連続して積み重ねることで、能力レベル(ケイパビリティ)を向上させる
ブレークスループロジェクトはとてもシンプルです。一般企業から行政まで、さまざまな仕事の場で有効なのはもちろん、趣味のサークル、スポーツチーム、地域住民活動など、仕事以外のあらゆる組織でも効果を発揮します。さらに、例えば子どもの教育、親兄弟・親戚など多くの人が関わる冠婚葬祭といった家族単位のイベントにも使えますし、部屋の掃除から生活習慣の改善、語学をはじめとする趣味や習い事の効果アップまで個人の生活にも役立ちます。
だれしも「ちょっと面倒な仕事だなあ」とか、「ずっとさぼっていて気持ち悪いなあ」と思いつつ「明日やればいいや」などと言って先延ばしにしてしまうことがあるでしょう。私も例外ではありません。でも、それを放置しておくと自分が少しずつ劣化してしまうような気がしませんか?
だからそんなとき私は、例えば部屋の片づけを3か月さぼっているとしたら、まず3分間で片付け作業のアクションリストをつくり、「そのうち15分でできる作業アイテムを1つ以上やる!」と決めて実行します。そうすると意外に簡単にできてしまい、「オレ、今日いけるな!!」と調子づくのです。たった20~30分「いまここ」、つまり目の前の目標に集中することで小さな達成感を味わう。これを繰り返すことで、結果として少し難しそうな課題も解決することが少なくありません。
このように、ブレークスループロジェクトを一人で実行するときは、目の前の目標を達成したら「よくやった、えらい!」と声に出して自分自身を思い切り褒めることがポイントです。自分を自分で褒めるなんて変な感じがするかもしれませんが、是非一度やってみてください。パワーが出ます。
また、このような小さなアクションは失敗しても大した影響はありません。部屋の片づけの例で言えば、1つの作業アイテムが15分で終わらなくても何の問題もありません。むしろ片付けのコツみたいなものがわかり、あとでいくらでも挽回できると思えるようになります。「やらないといけないなあ」と長い間気になっていたことが前に進むので、当人の心理には大きな達成感が生まれ、他の行動にも良い影響が現れていくのです。