顧客経験価値重視の商品企画開発を実践するトレーニング「組織能力をアップさせる方法」第1回
ニューチャーネットワークス 代表取締役
高橋 透
ここまでは、独自の顧客経験価値を創造するために個人が心がけるべきことをあげてきましたが、次に組織としての能力アップに関して説明します。独自の顧客経験価値創造には、個人の努力だけではなく、組織的な基盤の整備や取り組みの施策が大切です。
商品開発の基本ツールを整備し、実践で使えるようにする
新商品企画がスムーズに進まないという組織に共通するのが、商品開発のツールがないことやそのプロセスが曖昧で、30年以上前に制度化されたと思われる「新商品開発申請書」一枚があるだけといったケースです。他社の模倣で開発する時代ではその程度でも良かったのかも知れませんが、今では全く通用しないと思います。商品開発はその結果もさることながらどのような手順で商品開発するのかといったプロセスが大事で、またそのプロセスを支える知識、スキルが重要なのです。
そのためには商品開発のための基本ツールが必須です。基本ツールとは
- 商品開発プロセス(アイデア発想からコンセプト企画、市場調査、事業計画など)がドキュメント化されていること
- 商品開発各プロセスのフォーマットとその解説
- フォーマットの記入事例
- 各プロセスに必要な知識、スキル
などです。
このような標準化されたツールがあれば、商品開発の経験がない人でも学習しやすく、その一部でも実施することができます。また自分はどこができて、どこができないのかといった知識スキルレベルや課題が容易にわかります。
また商品開発プロセスの節目で実施するデザインレビューも行いやすくなり、商品開発の進捗管理が可能となります。