「プロジェクトの実施スケジュールと予算を見れば経営者の本気度が解る(後半)」顧客経験価値のための商品企画開発の実践 第8回
前回に引き続き、商品開発プロジェクトのスケジュールと予算計画で大切なことをお伝えします。
④ 進捗チェックは事務局などの役割にする
プロジェクトの進捗チェックは、プロジェクトリーダーやメンバーが行うとどうしても甘くなりがちです。事務局などの第三者が行うのが適切です。
そして進捗が遅れたらその理由を冷静に分析し、リソースの追加、ムダな報告をやめるなどの適確な対応をしなければなりません。プロジェクト当事者が言いにくいこと、やりにくいことを含めて事務局がファシリテートするのがベストです。その確認の結果、プロジェクトを中止するということもあり得ます。プロジェクトの目的、目標が達成されないと解った時点で、それ以上進めるのは資源のムダなので、途中でやめるのもあり得ます。
⑤ リスクプランをつくっておく
スケジュール通り進まない場合のリスクプランを持っているかどうかが柔軟な思考、行動の原点です。
このスケジュールでしか進めないとなるとプロジェクト全体が硬直的になり、良い発想も浮かばないし、チャンスにつながる偶然の事象もキャッチ出来ません。リスクプランは2つか3つ作成しておき、スポンサーと共有しておけば組織は機動的に動けるとおもいます。
⑥ 必要な外部リソースに十分な予算を確保する
商品開発は、イノベーティブであればあるほど、当然ですがその経営資源は社内にありません。
多くの日本企業は、社内にその資源が無いにもかかわらず、社内資源を利用しようとします。具体的には、ビジネスモデル設計や商品コンセプト作りのコンサルタントやデザイナー、ネットでのプロモーションのための広告などです。
外部資源が使えないとなると当然思った通りの商品にはならず、不本意なものに終わることになります。日本の多くの企業は、終身雇用が基本で、時代の変化について行けない社員を多くかかえているケースも多く、それが社外リソースをうまく利用できない理由になっています。この仕組みは変革が難しいのですが、プロジェクトを成功させようとなれば、必要な外部リソースを調達するために、プロジェクトリーダーは、スポンサー、場合によっては社長はじめ役員にその必要性を理解してもらう努力が必要となります。
⑦ 予算が十分確保出来ない場合は、予算申請前に実績をつくる
プロジェクトリーダーが努力しても予算が獲得出来ない場合もあります。その場合は、プロジェクトがスタートして90日以内に、部分的であっても高い実績を上げ、経営者を説得するという方法があります。
例えば有望顧客を3社獲得するとか、概念実証=PoCを実施、有効な結果を得るとか、簡単な施策を作成し重要顧客に提案してよい結果を得るなどです。経営者も小さくても実績が出ていれば予算を配分しやすいと感じるはずです。