
【報告】理化学研究所 橋田浩一先生講演「パーソナルAI~ 顧客接点を総取りするAIによる産業創造とそのガバナンス」第3回技術者交流会を開催いたしました
2025年4月18日(金)ニューチャーネットワークス主催 第3回技術者交流会を開催しました。
今回はスペシャルゲストとして自然言語処理、人工知能、認知科学が専門領域の、元東京大学教授であり、現在は国立研究開発法人理化学研究所にご所属の橋田浩一先生をお招きし、
「パーソナルAI~ 顧客接点を総取りするAIによる産業創造とそのガバナンス」
と題してご講演いただき、パーソナルAIがこれからの10年で我々の生活に浸透し、ビジネスにおいてAIが顧客接点を総取りするシナリオの示唆をいただきました。パーソナルデータの分散管理を前提とし、生成ではなく検索によってLLM(大規模言語モデル)を介さずに高精度・高速な処理を行えることから、ビッグテックに技術的優位性がないといったことは、非常に印象に残りました。
講演後の懇親会も、短い時間ではありましたが、皆さまに積極的に交流いただけたかと思います。
前回に引き続き今回も、異業種でのつながり・人のつながりの重要性を改めて感じました。
【第3回技術者交流会開催概要】
- テーマ:技術者同士でAIの今後の展望について考える
- 対象 :迷い多き、でも誇りある中高年優秀ベテラン技術者(ニューチャーネットワークス・橋田先生とお付き合いのある方限定)
- 日時:2025年4月18日(金) 18:00~20:30
- 定員:30名 ※先着順
- 場所:TOMOSUBA 東京四ツ谷店
- イベントページ:https://urakou003.peatix.com/
【講師略歴】
国立研究開発法人理化学研究所 革新知能統合研究センター 社会における人工知能研究グループ 分散型ビッグデータチーム グループディレクター/チームリーダー 理学博士
[経歴] 1986年:東京大学院理学系研究科博士課程修了 理学博士1986年:電子技術総合研究所入所
1988年-1992年:(財)新世代コンピュータ技術開発機構に出向
2001年-2013年:産業技術総合研究所
2013年-2024年:東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センター教授
2017年-現在 :理化学研究所 革新知能統合研究センター 社会における人工知能研究グループ 分散型ビッグデータチーム グループディレクター/チームリーダー
【参考】橋田浩一氏研究実績 ※理化学研究所WEBサイトより引用
革新知能統合研究センター分散型ビッグデータチーム
■研究概要
人工知能(AI)の開発および運用のための社会基盤として、個人情報や企業秘密を含む非公開データをデータ主体に集約して安全にフル活用する技術の開発と社会実装を進めています。その一環として、人間が簡単かつ正確に作成・読解できる文書の形式やその文書の作成・読解および高度利用を支援するAIも探究しています。
研究テーマ:
・パーソナルAIの可能性とガバナンス
・グラフ文書の作成・読解支援
■研究成果
グラフが論理的思考力を高める-ChatGPTなどのAIとともに持続的に進化する社会の展望-
(2023年4月17日 理化学研究所プレスリリース)
理化学研究所(理研)革新知能統合研究センタ ー社会における人工知能研究グループ 分散型ビッグデータチームの橋田 浩一 チームリーダー(東京大学大学院 情報理工学系研究科附属 ソーシャルICT研究センター 教授)らの共同研究チームは、グラフの共同作成を高校の通常授業に余分な手間をかけずに導入し、生徒の批判的思考力(論理的思考力)を高められることを実証しました。
本研究成果により、教育や業務の現場にグラフの形の文書を普及させて、産業や学術の水準を永続的に高めることができると期待できます。また、グラフは人工知能(AI)の入力データとしても学習データとしても有用であることから、グラフの普及がAIを発展させ、AIの発展がグラフによる知的生産を高度化する、というサイクルが持続的に回ると考えられます。
グラフを作ることによって批判的思考力が高まることが先行研究で明らかになっており、さらにグラフの方がテキストより作りやすい(質が高い)ことも橋田チームリーダーらが既に実証していますが、グラフを業務などの現場に導入する方法が不明でした。
今回、共同研究チームは、通常の学校教育において教員の負担を増やさずにグラフを導入することで、授業の効率を高めることができ、それによる生徒の批判的思考力の向上が統計的に有意であることを示しました。
本研究は、『言語処理学会第29回年次大会』(3月14日)において発表され、同論文集に掲載されました。