私が幼少のころは、夏休みともなるとぼんやりと一日過ごす日が何日もあった。
中学受験などもなかったし、宿題もたいした量ではなかった。大学に入っても夏休みは
アルバイトもせずに、クーラーもない下宿でぼんやりとしたり、何日も小説を読んだり
することが多かった。
いま、年代問わず、ぼんやりとする時間が少なすぎるように思える。ぼんやりと
することは体をやすめるだけでなく、考えをゆっくりと整理したり、思考を休めたり、
生きていく上で大切な時間だと思う。
流れる川をじっと見る、雲の形が変わっていく様を眺める、奥深い山々に絡みつく
ように這う霧を眺めるなど、古代から人間の生活の中にあった習慣の大切さを、
夏休みを機にやってみるのもよい。