■ターゲット市場の絞り込み
複数の有望市場の調査が終わったら、ターゲット市場を絞り込むため、6つの視点から評価していきます。実際には、それぞれの項目を5点満点で評価します。
ターゲット市場の6つの絞り込み視点とは、市場の魅力と、技術マーケティング戦略の5つの要素です。これら6つの視点で評価することで、自社のコア技術を中核とした技術マーケティング戦略がターゲットとする市場に効果的に適合するかどうか、さらにはそのターゲット市場を進化・発展させることができるかどうかを判断します。

ターゲット市場の絞り込み視点
ターゲット市場の絞り込みにおいては、単に現在の市場規模が大きいとか、巨大な有名企業が顧客として存在しているといったことよりも、その市場に、あるいはそのエコシステム自体に拡張性のポテンシャルがあるかどうかと、そのポテンシャルを自社のコア技術で引き出せるかどうかを重視します。
さらに、そのコア技術をベースにした製品・サービス、およびそれらの価値を生み出すバリューチェーンやビジネスモデルが市場拡張に効果的に寄与するものかどうかに焦点をあてて判断します。
■ターゲット市場の中の顧客セグメント
絞り込みでターゲット市場が設定できたら、そのターゲット市場をさらに顧客セグメントに分け、各顧客セグメントを調査分析します。顧客セグメントとは、いくつかの類似した特性を持つ顧客群のことを指し、BtoBの場合は複数企業群となり、BtoCの場合はある属性を持った消費者群となります。

ターゲット市場を顧客セグメント別に分析する
一旦顧客セグメントに分けて調査を始めた後に、もっと的確なセグメントが見つかることもあります。その場合は再度セグメンテーションをやり直してください。
どのような基準で顧客を分類するかという顧客セグメンテーションは、それそのものが重要な戦略となりますから、2度3度とやり直すことは決して珍しくありません。
■顧客セグメント別調査とは
顧客セグメント別調査では、主に以下のような項目を調べます。
① 顧客特性
・顧客セグメント市場規模、成長性
顧客セグメント市場のボリューム感をつかむため、顧客セグメントの想定市場規模、年率の成長性を把握します。
・購入サイクル
月1回、年1回など、顧客の平均購入頻度を分析します。
・価値観、行動、ニーズ動向(BtoCの場合)
顧客セグメントの平均的な価値観、行動の特性(時間の使い方など)、企画製品・サービスに対する想定ニーズを調べます。
・戦略、プロセス、ニーズ動向(BtoBの場合)
顧客(法人)の経営・事業戦略、業務プロセスの特徴、その戦略、業務プロセスの特徴に基づいた企画製品・サービスに対するニーズを調べます。
② 競合企業動向
・主な競合企業名
顧客セグメントにおける具体的な競合企業を、最低5社はリストアップします。
・競合の動向
競合企業の技術戦略、マーケティング戦略など、競合の将来動向を調べます。
③ 代表的顧客(消費者の場合はペルソナ)の特性と想定経験価値
代表的顧客を具体的にイメージし、消費者の場合は身近な人を挙げて、法人の場合は具体的な企業名を挙げ、その特性を分析し、顧客が求める想定顧客経験価値を記述します。
④ 顧客の想定経験価値
顧客の想定経験価値とは、想定される顧客ベネフィットを想定される顧客コストで割ったものです。顧客セグメント調査の「想定経験価値」の分析において、BtoCとBtoBとでは以下のように分析視点が異なります。
BtoC(消費財)の場合
・顧客想定ベネフィット:想定される機能的ベネフィット+経験的ベネフィット(感覚、感情、思考、行動、共感のベネフィット)
・顧客想定コスト:想定される直接コスト(支払い金額)+経験的コスト(感覚、感情、思考、行動、共感の負担)
BtoB(企業向け)の場合
・顧客想定ベネフィット:想定される機能、戦略、プロセス
・顧客想定コスト:想定される直接コスト(支払い金額)、間接のコスト
⑤ 自社製品・サービスによる代替可能性
自社の製品・サービスによる顧客の想定経験価値と競合の顧客経験価値を比較し、自社製品で現在の競合製品・サービスを代替する可能性があるかを記述します。
例えば、3年間での代替可能性が30%と想定し、機能的ベネフィット、心理的ベネフィット、購入価格、顧客などの負担、競合と比較した自社想定顧客経験価値が約1.8倍、といった理由や根拠を示します。