顧客価値を10倍にする思考・発想

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顧客価値を10倍にする思考・発想

 「顧客にとってどれほどの価値があるか?」自分が顧客の立場だと誰しも考えることですが、提供側になるとこの視点がすっぽり抜けてしまう。誰しもあり得ることです。たとえ顧客価値の視点を持ったにしても、それが過去の製品・サービスと全く異なるサプライズがあるのか?となるともっと難しいと思います。今回は顧客価値を10倍にするための発想法に関して紹介します。

■顧客価値とは何か

 「当社製品の顧客価値をアップさせるためには?」といった議論は日常的に行われていますが、議論の内容を聞くと、顧客価値ではなく、顧客ベネフィットだったり、提供する製品・サービスの機能であったりすることがしばしばあります。顧客価値とは、サービスの需要者である顧客が感じ、受け取るものです。提供者側の製品・サービスの機能や特性ではありません。顧客価値とは、顧客が受け取るサービスに対し、顧客がどのような“ベネフィット”(便益)を感じ、そしてそのベネフィットに対しどの程度のコストを支払うかを示します。顧客の支払うコストには、金銭だけでなく顧客が負担すること全てのコストが含まれます。結論的に言えば、顧客が受け取るベネフィットをコストで割ったものです。VE(価値工学、Value Engineering)では、価値は機能をベネフィットで割るとなっていますが、顧客価値となれば、顧客の受け取るベネフィットを対象にしなければなりません。
 顧客価値を語る場合、まずこの「顧客価値」の定義が明確でなければなりません。この場合の顧客とは、産業財などのB2Bの場合でも最終受益者となります。最終受益者の顧客価値を構想します。

■なぜ顧客価値10倍なのか

 ではなぜその顧客価値を10倍にする企画を構想できなければいけないのでしょうか。一般的な話ではありますが、単に「顧客価値をアップさせる」と考えると、顧客価値が既存製品・サービスの10%から20%アップ程度に留まってしまうから、つまり今の発想を変えずに思考、発想してしまうからです。実際、既存製品・サービスの20%アップの顧客価値向上を達成しても、顧客は価格のアップを認めてくれない可能性が高いと思います。またシェアが大きく増えることもないと思います。もし扱っている製品・サービスがB2Bであれば、中間の製品・サービスにその価値を取り込まれ、値上げすることは難しいと思います。
 そこで顧客価値10倍ではどうでしょうか。10倍ともなれば、今までの発想は通用しません。現在の自社の能力やブランド、市場ポジションにこだわらず、ゼロベースの発想になるはずです。発想する側は、顧客が明確に意識する中心的なベネフィットやコストを直接的に考えるはずです。

■顧客提供価値10倍のための発想法 

 飛躍的な顧客提供価値向上を発想する際にまず検討すべきことは、どの顧客をターゲットにするかです。既存顧客であれば既に競争が厳しく、価値アップが難しいかも知れません。そこで今現在対象となっていない顧客など、新たな顧客を創造することも考えるべきです。例えば、現在ターゲットになっていない顧客の何らかの制約条件を取り除けば、その顧客への提供価値は飛躍的に向上する可能性があります。また今は顧客ではないが近い将来顧客として購買力を上げると予想される顧客を対象にすることも効果的です。典型的な例では、新興国の低所得者層などです。人口が多く将来爆発的な需要を生むターゲットになり得ます。
 またベネフィットも既存のベネフィットではなくその周辺、今まで検討に入らなかったベネフィットを探してみるのも良いと思います。最近注目されている「リサイクル性」「製品の環境性」「社会性」などはその一つだと思います。
 その他、他社との組み合わせで飛躍的な価値の向上を狙う方法もあります。例えば自社の技術ではない、外部の技術やイノベーションを取り込むことで顧客提供価値を変革できないか、複数の製品・サービスを組み合わせることで顧客提供価値を変革できないか、などです。
 また、顧客価値を考える際に、どうしてもベネフィットだけを上げようと考えがちですが、顧客が支払うコストを大幅に下げる発想も重要です。顧客の支払うコストには、金銭的コストばかりではなく、製品・サービスの選択にかかわる時間、労力のコスト、その性能を引き出し、使いこなすためのコスト、使い終わって廃棄処分するためのコストなど、顧客が負担する様々なコストがあり、それらを含めたコストを大幅に下げる発想も顧客価値を飛躍的に上げるための重要な発想です。

 普段使い慣れている「顧客価値」という言葉。自分が顧客の立場で考えればいろんなものが見えてきます。「ウチの業界はもう変えようがない」と思ったら負けです。そう言った成熟しきった業界こそ変革のチャンスです。顧客価値10倍の変革発想を仲間と一緒にやってみてください。

 

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